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書評:小島宏の気になる1冊その853

松村明校閲・教育出版編集局編「表記の手引き第七版」(教育出版 本体:1600円)


 少し前までは,言葉の遣い方は,NHKのTVやラジオのアナウンサーのマネをしていれば99.9%正しかった。ところが,それも「ウッ!?」というこのが多いこの頃である。頼りになるものが欲しい。

 本書は,教育委員会提出などの公文書作成や授業で児童・生徒を指導する際のよりどころとなる「すぐれもの」である。

 「用字用例集」あいうえお順,常用漢字に準拠及び小・中学校配当学年を明示,「音訓引き常用漢字表」あいうえお順,常用漢字に準拠及び小・中学校配当学年を明示&「付表」と「常用漢字表備考欄に示された都道府県の読み方」,「人名に用いる漢字」(平成29年9月25日改正を反映)と,充実している。

 さらに,「現代仮名遣い」,「送り仮名の付け方」,「片仮名の使い方・外来語の表記(付録:用例集)」,「ローマ字のつづり方」と,至れり尽くせりである。

 また,児童・生徒を指導する際のことを想定し,事例付きの「原稿用紙の使い方」,「数字の書き表し方」,小学校低学年の「分かち書きの仕方」,句点・読点・中点・疑問符など「符号の使い方」についても,根拠を明確にして簡潔に示している。

 小学校の先生方や中学校の国語科の先生方だけでなく,多くの先生方に広く活用されることを期待したい。また,昭和55年(1980年)以来七版,流行り物を追う風潮の中でこのような地味で学校現場を支える出版物を大事にしてきた担当者に敬意を表したい。

 類書に,久米公・長野秀章編著「学習指導要領準拠 漢字指導の手き 第八版」(教育出版)がある。