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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その856
楽しい授業編集委員会編「ものづくりハンドブック4」 (仮説社 本体:2000円)
本書は,板倉聖宣先生が中心に理科教育の実践家が作成(シリーズ1~4)したもので1996年に出版されて以来,根強い人気で今に至る良書である。
ICT機器が発展し,実物の観察・スケッチに変わりデジカメでパチリ,実験を省略して映像で理想的な結果をハイどうぞ,あれこれ汗水を流さずとも電子辞書・事典でバッチリという授業が少なくない。結果のみを明確に示すのだから,テストの点数は申し分ない。でも,本当にこれでいいのだろうか?自分で見たり,調べたり,スケッチしたり,試したり,実験したりするから「科学的な見方・考え方」や「ものづくりの発想や工夫」が育つのではないだろうか?
教師の授業改善の具体的な事例を示したものであるが,子供たちにも,保護者にも「手づくり」のヒントになる情報が満載である。
「動きやかたちをたのしもう―切ったり,折ったり,鳴らしたり(紙のグライダー,メロディごまなど20事例)」,「のぞいてみようフシギな世界―手づくりカメラ,万華鏡,顕微鏡-性能もなかなかのもの(牛乳パックで作るカメラ,ゾウリムシはどんな体か?など11事例)」,「ドライアイス・水ロケットであそぼう―スリルいっぱいのエンターテイメント(パブロケットなど9事例)」,「オイシ~ものづくり―できあがるまでを見るのもワクワク(自分でつくるやっぱりおいしい,はるさめスナックなど12事例)」,「アッと爆発・シュルッとプラパン―熱を加えて見事にヘンシ~ン(新簡単圧電ポンなど8事例)」,「かわい~ものづくり―プレゼントしたくなるものを作っちゃう(松ぼっくりブローチなど12事例)」,「実験・研究ものがたり―自分の目でたしかめる,このヨロコビ(タカミ式アキ缶つぶしなど13事例)」,「季節のものがたり―季節を選んでつくると,さらに気分がもりあがる(発泡スチロール球で作るスノーマンなど10事例)」,「パズル・ふしぎオモチャ―どうなってるのかな?-おもしろグッズいろいろ(アウトコインパズル,マツボックリパズルなど6事例)」,「育ててみよう―収穫はきっとたのしい,きっとオイシイ(オジギソウを育てる,ペットボトルで水栽培など9事例)」,「分子模型・結晶をつくろう―原子や分子の世界がグッと身近になります(組み立て自由プラスチックの分子模型ができましたなど8事例)」,「ものづくりを楽しむために―ものづくりの授業を通して発見したこと(ものづくりの授業のポイントなど3つの配慮事項)」と,充実している。関心のあること,必要のある部分から読み進めてください。