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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その859

「教育展望2018年1・2月合併号」 ((一財)教育調査研究所 本体:448円)


 管理職(校長,副校長・教頭)とミドルリーダー向けの専門誌である。今月号の特集は,新学習指導要領の移行措置を控えて,「明日を目指す日本の教育像」をいろいろな視点から寄稿していただいた。

 タイトルと執筆者を紹介しよう。「教育を論じる思考の習性:明日の日本教育を展望するために必要なこと」オックスフォード大学教授刈谷剛彦,「多様化する学校像―学校の組織と文化をめぐって―」東京大学名誉教授児島邦宏,「拡大する日本の教育格差を問う」お茶の水女子大学教授耳塚寛明,「学校統廃合の影響と諸問題」文教大学教授葉養正明,「これからの意欲ある授業像」筑波大学人間系教授櫻井茂男,「これまでに大学教育改革と学生の学びと成長―大学は学生を育てられていない―」京都大学高等教育研究開発推進センター教授溝上慎一,「教育投資の国際比較について考える」東北大学准教授島一則と,現在の教育状況を捉えることができ,自分の教育の考え方と実践を振り返る絶好の機会とすることができる。

 また,巻頭言「IT時代の高等教育」京都大学総長山極寿一,提言「主体的・対話的で深い学びを導く授業」大坂教育大学名誉教授北尾倫彦も含蓄に富んだ内容である。

 連載物として,教育フォーカス「包括的で持続可能な世界へ:グローバル・コンピテンス」教育ジャーナリスト渡辺敦史,「わたしはなぜ教育の道を志したか」神奈川大学特別招聘教授安彦忠彦,ビューポイント「変わらぬ本質がある」山形県上山市立南中学校長金原克彦,私の教育実践「コミュニケーション能力を育む外国語(英語)科―外国語活動との違いに着目して―」岐阜県多治見市立笠原小学校長酒井茂など,大抵のことを学び取ることができる。