ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:小島宏の気になる1冊その868

教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その868

亀井浩明著「教師の見識―変革期に求められる教師の資質・能力」(学事出版 本体:2000円)


 著者は,かって上司で,たくさんのことをご指導頂いた。酒は口にせず,趣味は仕事と勉強(研究)で,浮いた話一つとしてないまじめ人間である。それだけに,教育のことに話が弾むと1時間や2時間では終らないということが常だった。30年くらい前から「カリキュラム研究会」を主宰し,自ら学び続けるとともに後進の育成に熱心に取り組んでいる,まさに尊敬に値する人である。

 その著者が,新小学校(中学校)学習指導要領の移行措置・完全実施,教育改革・働き方改革を進めるこの時期に「教育とは何か」「教師は何をすべきか」「どのような教師が求められているか」などについて,多角的視点から鋭く説いた一冊で教育実践の指針やヒントになる良書である。

 内容は,第1章「学校経営における教師」第1節「新しい教師の専門性(21世紀の教師の専門性など3項目)」,第2節「日本の教師の人間尊重(専門家教師の学びなど3項目)」,第3節「学校経営への参画(すべての教員の学校経営への積極的参画の必要性,校長の指導など7項目)」,第2章「学習指導における教師」第1節「学習とは何か(学ぶ意味,学習についての理論的対立など3項目)」,第2節「単元構想と授業研究(単元展開の一例,授業研究)」,第3節「個別指導(個別指導としての対話の大切さ,教師の語りにおける配慮事項など7項目)」,第3章「生活・心の指導における教師」第1節「生活・心の変化(青少年に見られる好ましくない心の変化)」,第2節「実態の背景(ICTを活用する時間が極めて長い,読書をあまりしない,友人と語り合わないなど6項目)」,第3節「学級での教師の語り(学級での教師の語りの印象深さ)」,第4章「現代の課題対応における教師」第1節「道徳教育の意義(哲学することの大切さ,リフレクションの大切さ,評価など10項目)」,第2節「対話が今こそ最も大事(対話での教師の基本的姿勢,哲学も必要など5項目)」,第3節「教師のモチベーション(校内研修の充実を図る,望ましい意見交換の場など7項目)」,第4節「情報化社会の人間教育(情報化社会で人が学ぶとは,学習におけるメディア活用の利点など5項目)」で構成されている。