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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その869

「初等教育資料2018年2月号」 (東洋館出版社 本体:500円)


 新学習指導要領の実現に向けて,小学校は4月から移行措置が始まる。特に,3・4年の外国語活動と5・6年の外国語科の移行措置は,小学校教員の悩みの種(心配ごと)である。でも,悩んでいる時ではない。何をどうするかを明確にして,具体的に取り組むしかない時期に来ている。

 それに応えたのが今月号の特集Ⅰは「外国語活動を踏まえた外国語科の実施に向けて」である。精読し,自校の指導計画作成と授業実践に生かしてほしい。

 <第1部全面実施に向けて,今,取り組むこと>文科省教科調査官金城太一「小学校外国語教育のこれまでとこれから(移行期間中の対応,新教材や指導資料の開発など)」,静岡大学准教授亘理陽一「小学校外国語教科に期待すること」,目黒区立不動小学校長遠山純子「新学習指導要領を意識した校内英語教育の推進」,熊本市立楠小学校教諭清水佳代「小学校外国語科化にむけて,教員が取り組むこと」,座談会・福岡県那賀川町立安徳南小学校長加峰和子×鳴門市立林崎小学校教諭坂田美佳×岐阜県教育委員会指導主事山田誠志×司会文科省教科調査官直山木綿子「小学校外国語教科化で小学校・中学校はどう変わったか」,<第2部新しい教科 外国語科の在り方>文科省教科調査官直山木綿子「新しい教科高学年外国語科(開発した新教材,新教材の特色と活動など)」,島根県雲南市立吉田小学校教諭村尾亮子「新教材で授業を創る・高学年の複式学級での取組」,埼玉県宮代町立笠原小学校教諭竹内知子「外国語教育研究開発での取組を基に新教材で授業を創る」と,参考になる情報満載である。

 特集Ⅱは,「国語:新学習指導要領に向けた指導の在り方-考えを形成する学習の在り方」である。論説「小学校国語科における「考え方」の指導のポイント」文科省教科調査官菊地英慈,事例1「話し合いを通して考えを深める授業づくり」秋田市立御所野小学校教諭佐藤さくら,事例2「不十分な文章の提示と交流の場の設定により子供の思いを明確にする授業づくり」新潟市立上所小学校教諭西川敦子,事例3「よりよい町づくりに向けて,アイディアを提案する文章を書こう」川崎市立中原小学校教諭伊藤有希,事例4「感想を書く「型」を使って,自分の考えを明確にしよう」松江市立大庭小学校教諭広山隆行。と具体的な実践提案が参考になる。

 また,子供と教育・巻頭言「教育にかける思い」国研所長有松育子,子供に学んだあの風景「Eタイムから広がること」大分県佐伯市立明治小学校長福田優子,も温もりのある示唆に富んだ内容である。