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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その874
養老孟司著「バカのものさし」 (扶桑社 本体:650円)
子供の頃,友達に「バカ野郎...」というと,「バカというやつがバカ野郎だ...」と言い返された。話の中身はわからないが,親父が「あの人は,何回話しても直してくれな。馬鹿に付ける薬はないから仕方ない」とよくこぼしていた。 「お前は,よくバカという言葉を使うね」と言われ,「よく聞いてくれ。尊敬のバカということもあるんだよ」と言い訳をしたこともある。
そんなことで,学者の養老先生は「バカ」をどのように考えて言うのかと,興味を持ち本書を読んでみた。小・中・高校生や教師,保護者の素朴な質問・疑問に答える形で,現在の子供たちへのメッセージ,教師や保護者への継承・提案を易しく(優しく)説いている。目次を見て,「これは!」「これって?」という項目を見つけて読む「拾い読み」をお勧めしたい。
序章「バカって治るんですか?(頭のよさは計る物差しによって違ってくる,考えるってどういうことですか?など12節)」,第1章「寝ないと馬鹿になるって本当ですか?(頭の良し悪しって遺伝するもんなのですか?,努力ができませんなど10節)」,第2章「どうしたらバカなおとなにならないか?(こころはどこにあるんですか?,人が怖くてストレスが多くツライですなど10節)」,第3章「努力はムダだと思いますか?(戦争を考えない脳にはなれないんですか?,言葉にしないコミュニケーションっていうのがよくわかりませんなど11節)」,第4章「子供の脳はどうして切れやすいんですか?(同じ中学生なのになんで人を殺せるんでしょう?,ゲームがやめられませんなど7節)」,第5章「死体って怖くないんですか?(解剖は気持ち悪くないんですか?,人工生命は生命なんですか?など8節)」,「あとがき(親がまともに生きていたら,出ない質問が多いと思いました。など)」と,話題づくりにも役立つ。