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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その876
諸富祥彦編著「これからの学校教育を語ろうじゃないか」(図書文化 本体:2200円)
いよいよ平成30~31年度(中学校は32年度)の移行措置を経て,平成32年度(中学校は33年度)から新学習指導要領の全面実施となる。
そこでは,教育課程のPDCA,児童生徒に育てたい資質・能力(知識・技能の習得,思考力・判断力・表現力等の育成,学びに向かう力・人間性等の養成)や「主体的・対話的で深い学び」の実現,学習評価の改善,授業改善,加えて教師の働き方改革などが,課題となっている。
本書は,学校教育に関する様々な分野・領域の方々と編著者の諸富祥彦氏とが,学校において育てたい「人格形成」と「資質・能力」についの対談を収録したものである。まず,関心のあるテーマについて読んでほしい。続いて,見識を広め高める意味で他の部分についても読み進めてほしい。教育課程の編成や授業づくりなどに貴重な示唆を売ることができるであろう。
第1章「学校教育における人間形成-どんな力(コンピテンシー)を育てるのか」明治大学教授諸富祥彦,
第2章「我の世界と我々の世界を生きる」奈良学園大学長梶田叡一×諸富祥彦,
第3章「教育カウンセリングで各領域をつなぐ」NPO日本教育カウンセラー協会長国分康孝×諸富祥彦,
第4章「教科教育・理科教育での人格形成-事実に学び謙虚さを育てる」東京大学特任教授日置光久×諸富祥彦,
第5章「総合的な学習の時間での人格形成-つながり,かかわり,引き受ける」上智大学教授奈須正裕×諸富祥彦,
第6章「特別活動と人格形成-個と集団の両軸で」文科省視学官杉田洋×諸富祥彦,
第7章「道徳と人格形成-道徳的価値を中核とする人格形成」日本道徳教育学会長押谷由夫×東京学芸大学教授氷田繁雄×諸富祥彦,
第8章「生徒指導と人格形成-社会で生きる力を社会を通して育む生徒指導」日本生徒指導学会長森田洋司×文科省大臣官房審議官磯谷桂介×諸富祥彦,
第9章「成長を促す教育相談-子供を決して切らない見捨てない姿勢で」日本学校相談学会長嶋﨑政男×諸富祥彦,
第10章「子供たちの未来を開き,学校を変革する枠組みとしてのキャリア教育」筑波大学教授藤田晃之×諸富祥彦,第11章「自明性が崩壊した社会での学校教育」首都大学東京教授宮台真司×東京大学教授鈴木寛×諸富祥彦
と,各氏の持論・提言が満載である。