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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その882
更科功著「宇宙からいかにヒトは生まれたか―偶然と必然の138億年史」(新潮選書 本体:1300円)
人類が生活しているこの小さな地球のことが実はよくわかっていないのだそうだ。とすれば,宇宙のことは,もっと分かっていないということであろう。
人類が宇宙空間に初めて出たのは,旧ソ連のガガーリンがボストーク1号で地球を一周(1時間48分)し,「地球は青かった!」と伝えたのが1961年4月12に日のことである。そして,人類が地球以外の星に降り立ったのが,アメリカの有人宇宙船「イーグル」でアームストロングが,8年後の1969年7月20日のことで,今から約半世紀前のことである。これから,火星の探索,宇宙の成り立ちの解明,さらに太陽系以外の惑星の研究と,夢は宇宙へと限りなく広がっていくであろう。
ところで,私たちが生活している地球に目をやると,ヒトをはじめ生命は,どのように誕生し今に至ったのかも知りたくなる。そこに視点を置いて,現在分かっていることを基にして解明しようと試みたのが本書である。
もっと長い時間のものさしで考えるために,物事を多角的・多面的視点から考察するために,単なる推測ではなく客観的資料・科学的データを基にした論理的な探究の姿(著者)に,多くを学び取りたい。もちろん,宇宙・地球・生命などに関心の高い人にとっても魅力的な1冊である。
第1部「宇宙の誕生(138億年前~)」第1章「たくさんの宇宙」第2章「ビッグバン」第3章「太陽系の誕生」,第2部「地球の形成(45.5億年前~)」第4章「地球と月の誕生」第5章「地殻の形成」第6章「大気と海の形成」,第3部「最近の世界(40億年前~)」第7章「生命の誕生前夜」第8章「生命の起源」第9章「初期の生命」第10章「光合成」,第4部「複雑な生命の誕生(19億年前~)」第11章「真核生物の誕生」第12章「多細胞生物の出現」第13章「スノーボールアース」,第5部「生物に満ちた惑星(5.4億年前~)」第14章「カンブリア爆発」第15章「生物の陸上進出」第16章「大森林の時代」第17章「恐竜の繁栄」第18章「巨大隕石の衝突」第19章「哺乳類の繁栄」第20章「人類の進化」,最終章「地球と生命の将来」
と,目次を追うだけでも心は地球(宇宙)に奪われそうだ。