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教育研究所
書評:寺崎千秋の気になる1冊 889
石井順治編著 小幡公志郎/佐藤雅彰 著『授業づくりで子どもが伸びる,教師が育つ,学校が変わる」―「授業づくり・学校づくりセミナー」における「協同的学び」の実践―』 (明石書店 本体: 2000円)
副題にある「授業づくり・学校づくりセミナー」の発祥と継続発展の経緯が冒頭の佐藤学氏の序文で紹介されている。本セミナーは「学びの共同体」の授業づくり,学校づくりと手を携えて,授業改革を主導する役割を果たしてきた。本書はこのセミナーで報告された最近五年間の代表的な実践事例を提示しその意味付けを行ったものである。
本書は,「Ⅰ子どもの学びをひらく協同的学び」,「Ⅱ子どもが夢中になって学ぶとき」,「Ⅲ 教師の成長と学校づくり」の3部構成となっている。
Ⅰ,Ⅱともに子どもが学習の主役となって学ぶ姿を紹介しながら,そこに協同的な学びとそれを創りだしていく教師の指導・授業の工夫や努力の姿を映し出している。解説の文やそれに伴う写真の子どもの姿は,いずれも聴き会い,支え合い,つながり合い,学び合い,夢中になって学ぶ子どもたちである。どうしたらこのような学びの姿を生み出していくことができるのか。各例が大変参考になる。
Ⅲでは,三人の著者が各々に協同的な学びを核にして学校・教師を変えた例を示している。学校を変えた校長が語る言葉にはそうすることが当然であり当たり前のことと感じるが,実はそれをやろうとしない,やれない校長が多いのではと考えさせられてしまう。