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書評:小島宏の気になる1冊その892

ドナルド・キーン著「日本人の質問」 (朝日文庫 本体:600円)


 著者は,コロンビア大学名誉教授で,日本文学研究者として広く知られ,2011年に日本国籍を取得し,日本文学を世界に紹介し評価を高めることに貢献している。

 最初に目次を紹介しよう。Ⅰ「日本人の質問(日本語を勉強するようになった動機は何ですか,俳句を理解できますか,トロロやコンニャクはどう訳しますか,日本の生活を不便だとは思いませんか,日本のどこが好きですか,など)」「日本人の投書」「入社の弁」,Ⅱ「外から見た日本文化(西洋人は伝導熱心,デウスと大日様など)」「日本人の自然観,西洋人の自然観」「日本古典文学の特質(奇数の文化と詩歌,本歌取りの思想,余韻の文学など)」「明治の日記」「日米相互理解はどこまで進んでいるか」「国際語としての日本語(外国では通じない外来語,日本はもっと真剣に文化の海外輸出を考えるべきであるなど)」「無知が生む反日感情」「36年ぶりの沖縄」,Ⅲ「谷崎源氏の思い出」「内と外の美術」「都会と田園」,Ⅳ「仏教と国民性」「弘法大師請来目録に捧げる辞」「山片蟠桃の鬼に捧げる辞」と,内容のおよその予想がつくだろう。

 エッセイ風に分かりやすく表現しているが,日本文化と文学,日本語表現のすばらしさには脱帽した。もっと,日本のことを素直に学びなおしたいと思った次第である。