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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その895

「東京人tokyojin 2018年4月号」 (都市出版 本体:861円)


 今月号の特集は,見知らぬ誰かの記憶と歴史を写真でシェアするとして,「発見し,再生し,記憶をつなげる写真の力」である。

 歴史的写真(ケネディ大統領暗殺,昭和天皇とマッカーサーなど「世論を動かしたこの一枚」),古い写真(中央区・板橋区・文京区・台東区・大田区の空襲を免れた貴重な数々の写真資料),珍しい写真(紙芝居を見る質素な服装の子供たち,明治天皇,開拓使札幌本庁上棟式など「写真再発見の時代」),愛らしい写真(家族お揃い,きょうだい,お見合い?などを揃えた「写真館物語」)等々と,写真だから当然のことながら「見て分かり」,極めて短い解説を「読んで納得」の満足する1冊であった。

 「外国人が撮った,占領期(昭和20~27年頃)のカラー写真」は,当時まだ日本では普及していなかったカラー写真,外国人の関心を呼んだ撮影対象を楽しむことができる。

 首都大学東京准教授渡邉英徳×小説家柴崎友香×写真家ハービー・山口の座談会「モノクロ写真のカラー化で「記憶」を解凍する」も面白い。モノクロ(白黒)で撮った写真を,「自動カラー化の技術」を使ってカラー写真にする試みである。なるほど,モノクロ写真のカラー写真を並べてみると,こんなにも異なる(素敵になる)ものかと驚いてしまった。今度,我が家にあるモノクロ写真についても試みてみたいものである。

 ところで,これは希望であるが,東京の教育に関することを,写真,作品,書籍,新聞・TV報道など多角的・多面的な特集にしていただきたい。きっと面白いものができると思いますが......。