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書評:小島宏の気になる1冊その902

生徒指導・進路指導研究センター「いじめにに関する研修ツール」(国立教育政策研究所 非売品 HPからダウンロード可能)


 各学校・教職員がいじめについて真剣に取り組んでいるのに,その効果ははっきりと自覚できる状況にないというのが正直な所であろう。

 そんな時,この冊子が発行されて,いじめに関する研修ツールが以下のように具体的に提案された。なるほど,このように研修を進めれば,いじめに関する研修と共通理解,組織的・一貫的な指導・対応ができるに違いない。これをそのまま使う,少しアレンジして自校流にするなど,活用をお勧めしたい。

A「自己点検シート」:担当者の指示によりこのシートに従って,自己点検を「はい,いいえ」で答える。その際,どれが正しいかでなく,自分の考え方,感じ方,取り組みに近いものを選ぶようにする。

B「点検内容の解説」:Aの回答が終わったら次に,解説を読み,自分が「忘れがちであったこと」や「忘れていたこと」,「見過ごしだったこと」がどのようなことか,それらを「どのように補っていけばよいか」についてのヒントを読んで,自己研修をする。

C「研修会アンケート」:A,B,Dの研修をした教職員,保護者等に対して,この研修の効果を確認するためのアンケートの例である。いじめに関する研修会の評価をして,共通理解を一層進め,一貫的・協働的指導・対応を効果的に進めるデータとして活用できる。

D「『いじめに関する研修ツール』を用いた研修会実施要項(実施担当作用)」:研修会を実施する際,担当者が困るのは,どのように進行するかである。「曖昧」で「もたもた」した進行では,参加者の関心・意欲と集中力は萎えてしまい,効果も今一つということになりかねない。この要綱では,「いじめに関する研修ツールについて」の解説,「研修会を始める前に準備すること」,「苛めに関する校内研修会の流れ(0開会,1管理職(主催者の代表者)の挨拶(3分程度),2研修会の流れの説明(3分程度),3「自己点検シート」の実施と「点検内容に解説」の読了(10分程度),4小グループの話し合い(〇分程度,適宜),5全体会:小グループのは話し合いの共有(〇分程度,適宜)」,6「研修会アンケートの記入(5分程度)」,7「終わりの言葉(3分程度)」と,具体的で参考になる。