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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その915
鈴木克明・美馬のゆり編著「学習設計マニュアル―「大人」になるためのインストラクショナルデザイン」(北大路書房 本体:2200円)
毎日を,教官の講義を受け身で聞くだけの毎日を送っている大学生は少なく無い。「学ぶこと」の「意味と方法」が分からず,「自分の人生と仕事」につながっていないからである。
本書は,若い人(高校3年~中心は大学生~20代)向けに編んだもので,「学び方を学ぶ」ことを奨励し,どのように学んだらよいかを「人は生涯学び続ける」「学び方と向き合う姿勢」「自分の学び方をデザインする」「教え方の工夫は学び方の工夫(★注:この視点は,児童生徒を指導する教師にとっては見逃せない視点である。逆に学び上手は,教え上手ともいう。「逆も真なり」ということであろう)」などの視点から「学び方を学ぶとは?」を事例をあげて簡明に説いてくれる。
本書は,4部19章から構成されている。各章とも「学習目標」→「具体的な学習」→「もう一度考えてみよう!(振り返り)」→「事例:学ぶ側・教える側」→「練習(本章で学んだことの確認)」→「フィードバック」という構成になっていて,具体的に学べるよう人っている。
1回目は章全体を通読する,2回目は線を引きながら読む,次にノートに書く(箇条書き,図表,自分の考えや疑問点など),3回目に自分の疑問を調べるために読む(本文を精読,インターネットや書物で調べる),そして練習問題に挑戦しフィードバックを読む。ということを勧めている。
第1部「自分の学びと向き合う(学習スタイルを把握する,学び方を振り返る,学びの深さを考えるなどの5章)」,第2部「学びの場をつくる(学び合う下地をつくる,意見を出し合い整理する,失敗に強くなるなどの5章)」,第3部「学び方を工夫する(学習意欲を高める,課題に合った学び方をする,実践に役立つ学び方にするなどの5章)」,第4部「これからの学び方を考える(これからの学び方を想像する,学習スタイルを拡張する,アクションプランをつくるなどの4章)」と,「体験的」に「学び方を学べる」ようになっている。