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書評:小島宏の気になる1冊その917

田村耕太郎著「人間関係を思い通りにし,最高のパフォーマンスを実現する方法―頭に来てもアホとは戦うな!」 (朝日新聞出版 本体:1300円)


 なんとも刺激的な書名である。著者は「はじめに」で,「限られた時間とエネルギーを一度しかない大切な人生を輝かせることに使って欲しい」「アホというと,ある程度心当たりがあるだろう...。アホは許せないという責任感や正義感はある意味素晴らしいが,やはりナイーブ(子供っぽい)だともいえる」「アホと戦わない生き方こそ,あなたがあなたらしくあることができ,あなたが目指す目標により近づけることになるのだ」などと,本書を勧めている。

 でも,戦うなと言っても,その「アホ」が経営者だったり上司だったりしたらどうなのだろうか? 「アホなことを言うアホな人」に異議・意見を述べるのは,社員として,部下として当然で必要なことだと思うし,同僚だったら「戦ってしまう」と思うが,いかがなものか。

 と,懐疑心を持ちつつ読んでみると,本書は一気に通読するよりも,「あれ!?」ということがあったら,目次で該当部分を探し拾い読みをしていくとよさそうだ。それが指針になることもあれば,慰めになることもある。「アホ」だと感じる部分は無視すればいいということになる。

 第1章「アホと戦うのは人生の無駄(他人とのいざこざで人生を浪費していた自分,厄介な無駄なプライドの捨て方など4つのポイント)」,第2章「臆病者のための戦略的コミュニケーションのススメ(嫌な相手にこそやられたフリ,メンツより実利,それでも一度はアホと戦え!など11のポイント)」,第3章「どんな強者でも味方にする"人たらし"の技術(相手の気持ちを見抜くためのちょっとしたコツ,困っていなくても困った顔をせよ,常に楽天家であれなど10のポイント)」,第4章「権力と評価の密接な関係(上司があなたを見てくれないのはなぜか?,無駄な会議を建設的にする方法,権力を握る人の条件など10のポイント)」,第5章「他人の目を気にするな(苦手な相手に「うん」と言わせる説得術,突き抜けたプレゼンはテクニックより「本気度」,心がポッキリ折れたときの自信の取り戻し方など8つのポイント)」,終章「アホとではなく自分と戦え!(ネットを見る暇があったら自分と向き合え,デキる人間に囲まれた環境に飛び込め!,あなたの「目的」はどこにある?など6つのポイント)」と,49の「アホ対策」を知ることができる。