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書評:小島宏の気になる1冊その920

「小学校プログラミング教育の手引き(第一版)」平成30年3月(文部科学省HPよりダウンロード可能)


 小学校にプログラミング教育が導入されることになった。このことによって情報活用能力の一部として,知識及び技能については,小学校「身近な生活でコンピュータが活用されていることや,問題の解決には必要な手順があることに気付くこと」が中学校「社会におけるコンピュータの役割や影響を理解するとともに,簡単なプログラムを作成できるようにすること」へ,さらに高等学校「コンピュータの働きを科学的に理解するとともに,実際の問題解決にコンピュータを活用できるようにすること」へと学校段階に応じて一貫的に行われるようになった。同様に,「思考力・判断力・表現力等」や「学びに向かう力,人間性等」についても,小学校,中学校,高等学校の発達段階において具体的のどのようなことを目指して,どのように進めるかが解説されている。

 具体的な内容は,「はじめに~なぜ小学校にプログラミング教育を導入するのか~」,第1章「小学校にプログラミング教育導入の経緯」はさて置き,第2章の「小学校プログラミング教育で育む力(ねらい,育む資質・能力,プログラミング的思考と情報活用能力,実現に向けた,評価)」は「そういう事だったのか!」理解を含めてくれる。そして,第3章では「各教科等の目標・内容を踏まえた指導の仕方(A指導要領に示されている単元で実施,B指導要領に示されていないが各教科等の内容を指導する中で実施,C各学校の裁量により実施,Dクラブ活動など特定の児童対象に実施)」についての指導事例が提案されていて,「こうすればよいのか!」と自校流の実践に向けて多くのヒントを与えてくれる。今後も,このような具体的な指導例を学校現場に提案してもらえると,移行期間中に自立できそうである。また,第4章「企業・団体や地域等との連携(外部の人的・物的資源の活用)の考え方や進め方」も参考になる。ただし,外部との連携・協力は,交渉や打ち合わせなどを効率的に進めないと,教員の職務の膨張になりかねないので,工夫のいるところである。

 僅か40頁ほどの小冊子であるが,全教員で精読し,共有化して有効に活用してほしい。