ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:小島宏の気になる1冊その922
教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その922
小針誠著「アクティブ・ラーニング―学校教育の理想と現実」(講談社現代新書 本体:880円)
著者は,アクティブ・ラーニングに「このままでは,先行き不透明な社会を生き抜く子供の教育はできないのか?」「活動的な学びを行えば,主体的・能動的で深い学びができるのか?」「アクティブ・ラーニングを経験すれば,必要な資質能力(知識・技能,思考力・判断力・表現力,学びに向かう態度・人間性等)が育まれるのか?」「どの学校・学級でもアクティブ・ラーニングが達成可能になるか?」「アクティブ・ラーニングは好ましいことで,国の教育政策として導入されるべきか?」という5つの疑問を呈している。その捉え方の是非は別として鋭い疑問である。
これらに対してどのように解き明かしてくれるのか期待して読み進めた。その感想は,敢えて控えさせていただくが,クリティカル・リーディング(鵜呑みにしなければ)をすれば,アクティブ・ラーニングの視点である「主体的・対話的で深い学び」について,自分なりの理解と授業につなげるいくつかのヒントが得られるであろう。
本書の構成は,第1章「アクティブ・ラーニング/主体的・対話的で深い学とは何か(5章)」,第2章「近代教育史(アクティブ・ラーニング)―対象新教育・戦時下新教育(4章)」,第3章「戦後教育史の<アクティブ・ラーニング>―戦後新教育・民間教育研究連盟(5章)」,第4章「平成教育史の<アクティブ・ラーニング>―新しい教育観・総合的な学習の時間(5章)」,第5章「未来のアクティブ・ラーニングに向けて(5章)」,「主要参考文献・資料一覧」,「巻末資料学習指導要領の主な変遷と内容」となっている。
★余分なことであるが,参考文献として文部省「学習指導要領一般編(試案)昭和26年改訂版pp86~87」,「研究紀要第95号小・中学校におけるアクティブ・ラーニングの現状と今後の課題2015年5月」&「教育展望2015年9月号特集アクティブ・ラーニングの学習像―その現状と展望」(いずれも一般財団法人教育調査研究所),文部科学省「小学校(中学校)学習指導要領解説総則編平成29年7月」&「同(各教科)編」を付け加えさせていただきたい。