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書評:小島宏の気になる1冊その924

フィリップ・コトラー/ジョン・A・キャスリオーネ著 齋藤慎子訳 高岡幸三監修 「コトラーの『予測不能時代』のマネジメント」(東洋経済新報社 本体:2400円)


 企業では,予測不能の時代のマネジメントが課題になっている。カオス(Chaos:混沌,未秩序。気流や水流の流れの乱れ,すなわち「乱気流」のような状態,物事が絡まり合ってはっきりしない状態)の犠牲になる企業もあれば,うまく使って上昇する企業もあるそうである。

 予測不能の未来に生きる子供たちを教育する学校にとって,「予期せぬ乱気流」を乗り越え対処していくために,何かヒントになることが得られるのではないかと本書を手にした。

 訳者は,「新しい現実」を見つめ続け,「新しい問題」を発見し,それを「新しい学校経営」に反映させ,「適切な教育活動」を展開していくことである(?)と提言しているのだと浅学非才者流に理解した。

 マーケティングの神様(著者=コトラー)が教えてくれる「不確実な世界で勝つ戦略と仕組み」の内容は,次のように構成されている。

 序章「乱気流とカオスに対応する」,第1章「ノーマルからニューノーマルへ(カオスを引き起こす可能性のあるものなど3節)」,第2章「乱気流への対応を間違うと命取り(乱気流時代に起こしやすい過ち,目先にキャッシュのために人材を使い捨てにする過ちなど9節)」,第3章「カオスティクス・マネジメントの全体像(脆さときかいにうまく対処する,キーシナリオを構築するなど4節)」,第4章「カオスティクスによる戦略的対応(反応性・強靭性・弾力性の高い組織が生き延びる,カオスティクス・マネジメント・システムなど7節)」,第5章「カオスティクス・マーケティング戦略(現状の方針や計画を疑ってみる,危機に対するありがちなマーケティング,危機に対して戦略的に対処するマーケティングなど5節)」,各章の終わりには「本章のまとめ」があり,頭の中を整理するのに役立つようになっている。