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書評:小島宏の気になる1冊その927

須賀瑛文著「フィールド版木の実のガイド」(トンボ出版 本体:1500円)


 散歩していると,季節にかかわらず(やはり秋が多いが),歩道の植え込みに,畑の畔に,校庭や公園のあちこちに木の実が落ちていることに気づく。

 ところが,これは「何の実だろうか?」,いやしくも「食べられるだろうか?」と思いつつ,分からないままにいつの間にか忘れてしまうのが常であった。

 杉並に住んでいる友人Tさんが,秋になると近くの公園を散歩がてら拾った銀杏(あの激しい匂いの果皮を取り除き白い種の状態)を送ってくれる。茶碗蒸しに入れて食べると最高である。そういえば,子供の頃,桑の実,山イチジク,山葡萄,木イチゴ,アケビなどを食べたことも思い出した。おっと脱線してしまった。

 イマドキの図鑑だけあって,鮮明なカラー写真「実」「実の付いている状況」「葉or花」を付けて,「和名(学名,科)」「分布の説明」「実の説明・食用の可否」「形態,生息地等の説明」などが10行程度に簡潔に紹介されている。A5番152頁350gで,散歩や山歩きに携帯できるポケット図鑑である。

 内容は,「本書の使い方」「用語説明(殻斗,花柱,托葉など専門用語の解説)」に続き,木のみ138種類について「1.赤色~赤紫の赤紫の実」「2.茶色~褐色の実」「3.青色~黒褐色~黒の実」「4.白色~黄色~橙黄色の実」「5.ドングリ形の実」と,色に着目して調べやすく工夫してある。「さくいん」も付いていて,「何か」を手掛かりにして,目指す木の実を探しやすくもなっている。

 学校図書館(学級文庫)に1冊おいて,子供たちの興味・関心に応えられるようにすることも考えられる。