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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その929

「紀要・第146号<特集:資質・能力を育成する教育課程>」(国立教育政策研究所 平成29年3月非売品<HPからダウンロード可能>)


 新学習指導要領では,未来を担う子供たちに育む資質・能力を3つの柱「何を知っているか,何ができるか(個別の知識・技能)」「知っていること,できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)」「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか(学びに向かう力,人間性等)」で示している。

 紀要146号では,その「資質・能力を育成する教育課程」を特集,教育課程の編成に係る基盤となる知見や情報を提示している。研究所の論文なので,読み応えがあるが,問題意識を持って読み進めると多くのヒントを得られる。

 収録されている論文を紹介すると,西野真由美「特集テーマ:資質・能力を育成する教育課程」,松尾知明「21世紀に求められるキーコンピテンシーと国内外の教育課程改革(コンピテンシー育成の背景と,知識基板社会に求められる資質・能力及び諸外国の教育改革の動向)」,西野真由美「人格教育と資質・能力(情意や社会性など人格教育に係る資質・能力の観点からの課題と可能性)」,白水始「評価の刷新―「前向き授業」の実現に向けて(前向き授業の授業デザインと評価の在り方)」,後藤顕一「学びの過程と問題解決力の育成における効果的な取り組みの事例―国内先進校の取組から(小中学校の実践を資質・能力を育成する授業づくりの観点から分析・考察)」,松原憲治「国際的視点からみる理科の目標の枠組みと資質・能力の特徴(小中学校の理科について,PISA2015科学的リテラシーの観点で諸外国と比較し今後の理科教育の課題を提言)」,福本徹「ICTリテラシーと資質・能力(ICTリテラシーの能力目標,諸外国の動向など基礎的・実践的研究を整理)」,田熊美穂「Preliminary Findings from the OECD Education 2030 project(OECD教育2030プロジェクトからの中間報告)(OECD諸国のカリキュラム改革の動向,新たな取り組み,評価に関するプロジェクトの概要)」,石井英真「資質・能力ベースのカリキュラム改革をめぐる理論的諸問題―教育的価値を追求するカリキュラムと授業の構想に向けて(カリキュラム改革の可能性と危険性,可能性)」と,充実している。注:( )内は,紹介者の加筆。