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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その933
原作 吉野源三郎・漫画 羽賀翔一「漫画 君たちはどう生きるか」(マガジンハウス 本体:1300円)
原作を読んだのは,確か1982年の文庫本のように記憶している。本屋に平済みになっている「マンガの本書」を見て,いささかびっくりした。そうしたら本書を孫が読んでいるではないか。どうせマンガにして,軽くしてしまったのだろうというくらいの気持ちでパラパラとめくってみた。
直観的に「どう生きるか」を感じ取って,「さて!」本格的に自分の生き方を考えるために,「原作を読んでみるか!」ということになればそれはそれでいいような気がする。
「はじめに」に当たる部分を見てみる(読んでみると)と,場面は1937年の東京の街(東京市),独りの中学生(コぺル君)とその叔父さんが中心に展開される歴史的名著の小説「君たちはどう生きるか」を漫画にしたことが分かる。
今に通じる青春の入り口の中学生の成長の過程を様々な視点から描写したものである。小学校高学年から中学生に原作の入門書として,そしてその児童生徒を指導する先生方にキャリア教育や道徳科の関連資料としてお勧めしたい。
「1へんな体験・ものの見方について(おじさんのノート)」,「2勇ましき友(前編)」,「3勇ましき友(後編)真実の経験について(おじさんのノート)」,「4ニュートンの林檎と粉ミルク・人間の結びつきについて(おじさんのノート)」,「5貧しき友・人間であるからには(おじさんのノート)」,「6ナポレオンと4人の少年・偉大な人間とはどんな人か(おじさんのノート)」,「7雪の日の出来事(前編)」,「8雪の日の出来事(後編)」,「9石段の思い出・人間の悩みと,過ちと,偉大さについて(おじさんのノート)」,「10凱旋」,「11春の朝」となっている。
おじさんのノートは順に,「コぺル君へ:ものの見方について」「コぺル君へ:真実の経験について」「叔父さんへ」&「コぺル君へ:人間の結びつきについて―なお,本当の発見とはどんなものか―」「コぺル君へ:人間であるからには―貧乏ということについて―」「コぺル君へ:偉大な人間とはどんな人か―ナポレオンの一生について―」「人間の悩みと,過ちと,偉大さについて」と,文章で語りかけるように生き方について多様な視点から説いている。
そして,コぺル君は,「どう生きるか」を考えるようになったのですと。