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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その935

「月刊教職研修2018年5月号」 (教育開発研究所 本体:1000円)


 各学校は働き方改革に微かな期待を抱きつつ,新学習指導要領の移行措置や教育課題への対応で文字通り忙殺されている。理屈はたくさん,実質的に「子どもと向き合う時間の保障」を実現してほしいと願うのみである。

 今月号の特集Ⅰは,教員の指導の在り方に鋭く迫る「最悪の結果を招く前に...教員の「行き過ぎた指導」をどう防ぐか」である。内容は,「必要な指導と行き過ぎた指導」前小金井市教育長山本修二,「レポート・ブラック校則」評論家荻上チキ,「なぜ学校で行き過ぎた指導が起きるのか」東京電機大学助教山本宏樹,「子ども一人ひとりに合わせた指導の必要性」明星大学特任教授神田正美,「チーム学校の対応が子ども・教員を救う」大阪市立港桜小学校長市場達朗,「管理職は行き過ぎた指導をどう防げばよいのか①その予兆をつかむ・創価大学教職大学院准教授渡辺秀貴,②研修による意識改革・帝京短期大学教授小川順弘,③当該教員への指導助言・文教大学教授松田素行,④アンガーマネジメント・日本アンガ―マネジメント協会理事長縄史子」など,管理職の指導や教員に関する危機管理の参考になる情報が満載である。

 4月から各学校が当面し,当惑している道徳科に焦点を当てたのが,特集2「具体化される「道徳科の評価」自校が目指す方向は正しいか」である。内容は,「要点整理・道徳科における児童生徒の評価の在り方」文科省教科調査官浅見哲也,「道徳科の評価を改善充実する管理職の目のつけどころ①評価方法・畿央大学教授島恒生,②評価体制・宇部市立東岐波小学校長坂本哲彦」,「1学期末に備えたい通知表・指導要録における記述の工夫と配慮・滋賀県愛荘町立愛知川小学校長上田仁紀」で,自校の実践を点検する参考の1つにされたい。

 この他,教育課程,教育行政・施策,学校マネジメント・学校経営,管理職の資質・職務,教育法規,教育時事などに関する記事・論文も多数掲載されていて視野を広げてくれる。