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書評:小島宏の気になる1冊その943

竹村彰通著「データサイエンス入門」 (岩波新書 本体:760円)


 学習指導要領が改訂(平成29年3月)になり、小学校算数科の領域「数量関係」、中学校数学科の領域「資料の活用」が整理され、9年間を一貫して「データの活用」と改訂された。社会にデータ(注:計算や立論の基礎になる既知あるいは容認されている事実、数値、資料、与えられているもの。コンピュータ処理の対象となる事実、資料)が氾濫し、処理して判断や立論に活用することが多くなったことによるものと思われる。

 そんなことで、「データ」について少し学んでみたくなって本書を手にした。著者によると日本では、この「ビッグデータの時代」にもかかわらず、データを処理し、分析し、価値を引き出すことの人材(データサイエンティスト)が不足し、育成がいそがれているそうである。算数・数学科の「データの活用」の授業では、このようなことを意識して展開したいものである。

 内容は、誰もがスマホを手にし、インターネットにつなぎ、ウェブ、SNS,ネール、ネットサービスなどでデータを活用する時代に呼応した内容で構成されている。「データの活用」の基本を学べる1冊である。

 Ⅰ「ビッグデータの時代(データサイエンスの登場、台頭するデータサイエンティスト、コンピュータとインターネットの発展など4章)」、Ⅱ「データとはなにか(定義と種類、相関と因果・回帰、データに基づく意思決定と不確実性など6章)」、Ⅲ「データに語らせる―発見の科学へ向けたスキル―(データ処理の可視化、ビッグデータの処理と分析、人工知能とデータサイエンスなど5章)」、付録1「統計学の歴史の概要」、付録2「コンピュータの歴史の概要」。