ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:小島宏の気になる1冊その949

教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その949

丹羽 聡子 著 「水彩でかこう花万葉・秋」(マール社 本体:1400円)


 最近の子どもは,絵を描いたり,塗り絵をしたり,文字(文)を書いたりして遊ぶことが少ないようである。小さい頃からスマホをいじったり,ゲームをしたり,タブレットで文章を作ったりする環境の影響かもしれない。

 本書は,身の回りにある花を水彩画で描いて楽しもうという「見て楽しみ,描いて見て,さらに楽しくなる」ための手引書である。

 万葉の貴人や歌人たちの歌を引き合いに出しながら,それにまつわる花(ハギ,イネ,フヨウ,オミナエシ,クズ,キキョウ,ナンバンギセル,リンドウ,タデ,アケビ,ヤブラン,ノジギク,ヨメナなど)を水彩でどう描くかを,そのまま真似すれば描けるように,誰でもできるように挿絵付きで丁寧に説明している。万葉時代の雰囲気を楽しみながら学べる趣味,心を広げてくれる良書(実用書)である。春,夏,冬編もある。

 そこで,本書をヒントにして,学校で子どもたちに,はがきに花の絵を描いて,それに一言添える「絵手紙(絵はがき)」の楽しさを経験させたらということで,紹介した。絵手紙をもらった人(友達,ジージ,バーバなど)もきっと温い心に感動するにちがいない。