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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その951
文部科学省「学校の危機管理マニュアル作成の手引き」(発行独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部 非売品)
児童生徒が,事故・事件に巻き込まれ不幸な結果になることが少なくない。元気に登校した児童生徒が,元気にニコニコ顔で帰宅することは,当然の事であり,学校の危機管理の責任でもある。危機管理の対象には,生命・安全,人権,いじめ,情報,教育内容など様々にあるが,「最優先は生命・安全」である。
各学校は,それぞれに「危機管理のマニュアル」を作成しているが,この「学校の危機管理マニュアル作成の手引き」を手掛かりとして,自校の「危機管理マニュアル」を見直し,現在の状況にあったものに改定する必要がある。
この手引きは,「児童生徒の生命・安全」に特化して,次のように4章に分かれていて,学校の危機管理の実際に対応しやすくできている。
第1章「危機管理マニュアルについて(危機管理マニュアルの作成及び全体構成図)」,第2章「事前の危機管理(体制整備,点検,避難訓練,教職員研修,安全教育)」,第3章「個別の危機管理(事故等発生時の対応の基本,様々な事故・不審者侵入・登下校時の緊急事態・交通事故・気象災害・地震津波・新たな危機事象などへの対応等)」,第4章「事後の危機管理(事後の対応,心のケア,調査・検証・報告・再発防止等)」である。構成は,図解とどのようにしたらよいかが具体的かつ簡潔に記述されている。
なお,第2章は「予防の危機管理(Risk management:危機が起きないように対策を立て体制作り・訓練・指導をする)」,第3章は「対応の危機管理(Crisis management:被害を最小に食い止める・拡大を防ぐ・回復する)」,第4章は「再発防止の危機管理(Knowledge management:対応の過程と結果を振り返り,教訓として再発防止策を講じる)」ということになる。