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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その953

「総合教育技術2018年6月号」(小学館 本体:1046円)


 道徳科の授業が始まっているのに,学校現場は今ひとつはっきりせず,戸惑っている。これに対応したかのように,今号の特集が組まれている。

 総力大特集は,「授業のあり方から評価のポイントまで 教科化1年目の道徳」である。PART1 改めて押さえておきたい「教科としての道徳の考え方と評価のポイント(識者インタビュー1<永田繁雄>子どもの道徳性と謙虚に向き合い幅広く柔軟に評価する姿勢が重要,2<田沼茂紀>パッケージ型ユニットで授業をつくり,子どもたちが納得する記述的評価を,3<加藤宣行>決まった概念を崩す発問で本質に迫って思考させる授業を展開)」,PART2 授業づくりのヒントとアイディアが満載「考え,議論する道徳,先行事例レポート(先行事例1<豊島区立豊成小学校>明確な指導感とほっこりノートで児童の自己肯定感と他者理解を引き出す,2<川口市立芝小学校>学びの継続性や心の成長をノートに記録,授業公開で授業力向上も図る,3<八千代市立村上北小学校>児童自らが働きかける授業づくりをめざして,4<和歌山市立岡崎小学校>オリエンテーションや道徳のーとなど多彩な取組で道徳授業の充実を図る)」で構成されている。自校の現在の状況を見直し,よりよく実施していくための手がかりとしてほしい。

 さらに,特集2では,制服,頭髪,時代に合わないルール問題をどうするか?「新学習指導要領時代の校則と生徒指導」を取り上げ,「校則と生徒指導に関する現状分析・新学習指導要領の方針に合わない校則になっていないか,今こそチェックを」,提言1 無藤隆「校則と生徒指導の見直しで子どもの自主性を育み,学校の働き方改革の実現を」,提言2 大島佳代子「時代に合わない校則を見直し,校則違反に対する指導方法を改善する必要がある」,提言3 八並光俊「PDCAサイクルを回し,校則に子どもの意見を取り入れ,自知的能力を育む」,校則のない学校レポート「校則がない分,話し合う場面を提供し主体的な行動ができる生徒を育んでいく」つくば市立竹園学園東中学校と,掘り下げている。自校のこれらを見直すきっかけとヒントになる情報である。

 また,連載の「チーム学校への挑戦(学校の組織力と教育力を高めるリーダーシップ)」赤坂真二,「センセイのつぶやき」などからも学んだ。