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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その958
ティム・ブラウン著,千葉敏生訳「CHANGE BY DESIGN デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方」(早川文庫 本体:700円)
著者は「はじめに」の冒頭で,時代遅れの考え方の終焉を願い,「デザイン思考」を推奨している。
そのデザイン思考(design thinking)とは,イノベーション(innovation既存のモデルを改革・刷新すること)を実現するプロセスで,顧客や利用者の欲求と願いを捉え,課題を設定し,それを解決するアイディアを出し,プロトタイプ(prototype試作モデル,試作品)を作成し,顧客や利用者に意見を聞きながら試行錯誤を続け,新製品やサービスなどを生み出すような問題解決の仕方であると,素人的に理解していた。でも,本書では,もっと次代を変える新しい思考法として解説していて,「なるほど!」と,多くを学ぶことができた。
企業の製品やサービスを中心に叙述しているので,学校関係者は熟読し,学校現場に対応させて読み解く必要があるが,学校運営や教育活動の工夫・改善,創造に役立つ発想のヒントを見つけることができる。新学習指導要領に基づく「質の高い教育の実現」が求められている現在,思いあぐねている校長先生,副校長・教頭先生,主幹教諭などのミドルリーダーに勧めたい1冊である。
「はじめに―デザイン思考のパワー」。パート1「デザイン思考とはなにか?」第1章「デザイン思考を知る」,第2章「ニーズを需要に変える」,第3章「メンタル・マトリクス(この人たちにプロセスというものがまるでない)」,第4章「作って考える」,第5章「初心にかえる」,第6章「メッセージを広げる」。パート2「これからどこへ向かうのか?」第7章「デザイン思考が企業に出会うとき」,第8章「新しい社会契約」,第9章「デザイン・アクティヴィズム」,第10章「いま,未来をデザインする」。