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書評:小島宏の気になる1冊その969

文:やまざきひろし,絵:きむらよう&にさわだいらはるひと「答えのない道徳の問題・どう解く?」(ポプラ社 本体:1500円)


 本書は,「いじめ」「かぞく」「いのち」などについて,「大人が考えている以上に,子供は考えている。」ということを期待して編集したものである。つまり,大人ででも答えを出すのが難しい問題を,考えて,考えて,考え抜いたことを,家族や友だちと話し合う,この姿勢が子供たちにとって学びにつながるというのです。まさに,「主体的・対話的で深い学び」の実現であり,「考え,議論する道徳」になるということである。

 そこで,本書は,テーマごとに,まず「自分でしっかり考え,なやんで,自分の答えを見つける」,そのあと「お父さん,お母さん,友達,先生たちと話し合う」という使い方を勧めています。

 テーマは,「たべものの問題,どう解く?」「うその問題,どう解く?」「びょうどうの問題,どう解く?」「ゆめの問題,どう解く?」「せいぎの問題,どう解く?」「いのちの問題,どう解く?」「かぞくの問題,どう解く?」「せんそうの問題,どう解く?」「べんきょうの問題,どう解く?」「らしさの問題,どう解く?」「いじめの問題,どう解く?」「すきの問題,どう解く?」「ともだちの問題,どう解く?」と,身近かで難しい問題である。

 本書の後半に,ジャーナリスト池上彰,詩人谷川俊太郎,将棋プロ棋士羽生善治,旭山動物園長坂東元,歌手ミッツ・マングローブなど13人の著名人が考えた「答え」が参考のためについている。自分の考えで答えを出し,それをみんなで話し合った後で,「さて,大人は,どんな答え(一つの考え方で,一番いい答えとは限らない)を出したかな?」と確認するのに使える。