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書評:小島宏の気になる1冊その971

造事務所編著「すっきりわかる!超訳「カタカナ語」事典」(PHP文庫 本体:629円)


 TV,新聞はもちろんのこと,日常会話まで,いやいや審議会答申にいたるまで,カタカナ語が氾濫している。「どういう意味なのか?」「え?その使い方おかしくないか!」「よく分からないけど,こんなこと恥ずかしくて訊けない」と言うことが結構ある。結局,分かった振りをしてその場をやり過ごすことが少なくない。(私の場合だけかもしれない。)

 本書は,分からない,曖昧,初めてであったようなカタカナ語529語について,「超訳」と「用例」及び「簡潔な解説」で分かりやすく解説している。事典として活用するのも,読み物として読むのも可能な便利ものである。

 例えば,「アルゴリズム」について,小学校算数科で学習する「筆算(算法)」のように形式処理だくらいには理解している。本書の「超訳」では,「問題を解決するためのもっとも効率的なやり方」としていて,「なるほど!」と納得させてくれる。

 「ストラテジー」の「超訳は,長期的作戦」である。そして,「用例は,うちの経営陣の頭の中の辞書には『ストラテジー』という言葉がない。だから現場がいつも苦労させられるんだ」という具合である。解説には「よく戦略と訳されるが,戦術=タクティクスとどう違うの? 国力を高めるために...と長期的・大局的な作戦を考える。一方,目の前のことを解決するために...と短期的・局所的な作戦を考える。前者が戦略で,後者が戦術である(要約抜粋)」という具合である。

 また,「あなたの会社の経営者は,あなたの学校の管理職は,戦略的な思考ができていますか,それとも目先のことだけを要求する戦術的思考しかできない人ですか?」というようなことを考えさせられるような珍しい事典である。

 事典(索引でアイウエオ順に検索できる)としても便利だし,読み物(目次で,いくつかのジャンルに分類されていて興味・関心に酔って選択できる)としても面白い1冊である。