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書評:小島宏の気になる1冊その981

金本良通・赤井利行・池野正晴・黑﨑東洋郎著「新学習指導要領対応・算数科 深い学びを実現させる理論と実践」(東洋館出版社 本体:2400円)


 これまでに、「主体的な学び」&「対話的な学び」については、今後さらに充実していく必要はあるが、かなり以前から実践してきた。ところが、「深い学び」については、理論的にも実践的にもあいまいな所が多く、これからの研究課題である。

 そこで、本書は、3つの視点「数学的活動を充実させる!」「算数科の資質・能力を身に付ける!」「ここから始まる新しい算数科の授業!」から、「深い学び」の理論と、「主体的な学び」&「対話的な学び」&「深い学び」実践例を紹介している。クリティカル・リーディングをすると有効に活用できる。

 第1章理論編「算数科で実現したい学び」:金本良通「課題としての深い学びの実現」、赤井利行「数学的活動のさらなる充実に向けて活動を通した資質・能力の育成への展望」、池野正晴「問題解決的な授業展開の創造―自ら考えみんなで創り上げる授業を通した資質・能力の育成―」、黑﨑東洋郎「算数の発展と活用として進める資質・能力とは」。第2章実践編「資質・能力を高める算数授業の展開」:<主体的な学びのために問題解決において既習内容を生かす方法>「第6学年 分数の割り算」坂井豊、「第4学年 計算のきまり」岡田崇宏、「第5学年 同じものに目を付けて」山野定寿、「第4学年 面積」山本滋基、<対話的な学びのために話し合い活動において協働的に算数を創る方法>「第2学年 長さ」矢田貝彩香、「第1学年 たすのかなひくのかな」山田耕世、「第6学年 場合の数の調べ方」圓井大介、「第4学年 変わり方」藤田英治、<深い学びのために創造的活動において機能させるべき見方・考え方>「第3学年 かけ算」坂井道太、「第5学年 倍数と約数」梅津祐介、「第5学年 三角形や四角形の角」信清亜希子、「第5学年 小数のわり算」磯﨑信浩&上野和彦。

 本書の他にも下記が参考になる。
(参考文献:「小・中学校におけるアクティブ・ラーニングの現状と課題」&「教育展望2015年9月号」一般財団法人教育調査研究所、「主体的・対話的で深い学びに向けた授業づくり算数・数学科編」&「知的コミュニケーションの力の育成」教育出版教育研究所)