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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その991

文部科学省「Society5.0に向けた人材育成~社会が変わる,学びが変わる~」(Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会 平成30年6月5日公表)


 人類の歴史を大まかに振り返ってみると,狩猟・採集社会Society1.0→農耕・牧畜社会Society2.0→工業社会Society3.0→情報社会Society4.0 →人間中心社会Society5.0と辿ることができる。

 現在の情報社会Society4.0では,知識や情報が共有されず,各分野がばらばらで連携が不十分で,年齢や障害などに起因する労働や行動に制約があり,少子高齢化や地方過疎にも十分対応しきれていない。

 そこで,Society5.0では,サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を融合させ,これらの課題や困難を克服し,希望の持てる社会,世代を超えて互いに尊重し合える社会,全員が生きがいを持って快適に安心して活躍できる社会にしていくことを現実のものとしたい。

 この「まとめ」は,第1章「Society5.0の社会像と求められる人材像,学びの在り方」,第2章「新たな時代に向けて取り組むべき政策の方向性」,第3章「新たな時代に向けた学びの変革,取り組むべき施策(学習の個別最適化や異年齢・異学年など多様な協働学習のためのパイロット事業の展開,スタディ・ログ等を蓄積した学びのポートフォリオの活用,EdTechとビッグデータを活用した教育の質向上・学習環境の整備充実,新学習指導要領の確実な習得,情報活用能力の習得,基盤的な学力を確実に定着させるための学校の指導体制ための学校の指導体制の成立・教員免許制度の改善,文理両方を学ぶ高大接続改革,地域の良さを学びのコミュニティを支える人材の育成)」と,教育行政に向け施策の推進を提言している。

 学校教育はどのように変わるべきかを考えるヒントにし,新学習指導要領を実現する学校運営や教育活動の展開の充実を進めたいものである。