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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その995
原田信之編著「カリキュラム・マネジメントと授業の質保証―各国の事例の比較から」 (北大路書房 本体:2700円)
明治維新の時代ではないから日本発の「教育課程の編成・実施・評価点検・改善工夫」や「児童生徒が自発的・主体的・創造的に学習する授業づくり」があってもいいと思う。と言いつつも,諸外国ではどのように考え,具体的にどのように進めているのかも気になったので,本書を手に取った。
「教育課程のPDCA」と「カリキュラム・マネジメント」はどこがどう違うのか,日本でも1940年頃から実践されていたことを「アクティブ・ラーニング(AL:主体的・対話的で深い学び)」として,アメリカから輸入したかのような大騒ぎをしなければならないのか,そんなことを考えながら読み進めた。
内容は,序章「日本のカリキュラム・マネジメントの現状と課題」田村和子,1章「アメリカのカリキュラム・マネジメントと授業の質保証」森久佳,2章「イギリスのカリキュラム・マネジメントと授業の質保証」冨田福代,3章「ドイツのカリキュラム・マネジメントと授業の質保証」原田信之,4章「フランスのカリキュラム・マネジメントと授業の質保証」細尾萌子,5章「フィンランドのカリキュラム・マネジメントと授業の質保証」渡邊あや,6章「香港のカリキュラム・マネジメントと授業の質保証」野澤有希,7章「シンガポールのカリキュラム・マネジメントと授業の質保証」池田充裕,と6つの国と地域で構成されている。
読み終えて,前編と「授業の質」を課題として,最終的には「学力調査の平均点」でなく「学力の質」に目を向けていることが印象に残った。「○○国では,...している」というのではなく,それらはあくまでもヒントとして自国流の教育課程と授業の改善・工夫を地道に追究し続けて欲しい。