ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:小島宏の気になる1冊その326

教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その326

文部科学省「初等教育資料」平成27年9月号(東洋館出版社本体500円)

初等教育関係の情報収集には必須の月刊誌である。本書の特集1は「学習指導要領実施状況調査結果を踏まえた授業改善(1)」で,大変役立つ内容で満載である。

私が興味を持ったのは,特集Ⅱ学習指導要領における指導のポイント「歴史に学ぶ算数教育」である。次の6つの論説で構成されており,戦後(1945年昭和20年8月15日以降)の算数教育,特に教科目標(算数が育てる学力の中身)や数学的考え方,指導法などの不易と流行(変遷)を改めて学び取ることができる。関係者のご一読をお勧めしたい。

論説1「算数教育の変遷―目標における資質に焦点を当てて」(笠井健一)
論説2「昭和26年の学習指導要領(試案)と昭和33年の学習指導要領をこれからの指導に生かす」(杉山吉茂)
論説3「現代化―昭和43年の学習指導要領をこれからの指導に生かす」(片桐重男)
論説4「キソ・基本―昭和52年の学習指導要領をこれからの指導に生かす」(伊藤説朗)
論説5「算数のよさ―平成元年の学習指導要領をこれからの指導に生かす」(清水静海)
論説6「算数的活動―平成10・20年の学習指導要領をこれからの指導に生かす」(吉川茂夫)

極めて個人的なことになるが,和田義信先生の講話は世田谷区立京西小学校(校長笹井正二)の研究発表会で直接拝聴した。中島健三・杉山吉茂・伊藤説朗先生には,教員時代に直接ご指導いただいた。片桐重男先生には,「数学的な考え方」の捉え方と指導法を直接にまた著書を通してご指導いただいた。清水静海・吉川成夫先生には学習指導要領(算数科)の改訂作業や解説書作成などで直接・間接にご指導いただいた。笠井健一先生には,研究会などで親しくご指導いただいている。ずっと,目標にしてきたが,天空に輝く北極星のようで,こちらが進めばあちらはもっと遠ざかり,いまだ足元にも及ばない。