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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その327
江藤省三監修・藤森瑞穂著「イラスト版・基本がわかるスポーツルール・野球」(汐文社本体:1500円)
私の子ども時代(昭和20~30年代)は、男の子の遊びと言えば野球だった。子どもも大人も、暇さえあれば草野球に熱中していた。グローブもボールも手作り(グローブは熱い鍋をつかむ大きな手袋のようなもの。ボールはぼろきれを丸く紐で結わえた代物)が多く、本物のグローブ・バット・ボールはめったに使えなかった。それでも、アウト・セーフ、ヒット・ホームラン、勝ち負けに毎日興奮したものである。
ところが、最近は、キャッチボールをしている親子や、公園や広場で野球をしている子どもたちの姿をすっかり見かけなくなった。
本書は、3年生の孫が、学校の図書室から借りてきた本である。「どうしたの?」「うん、サッカーばっかりしていたけど、このごろ、南公園で野球をして遊ぶことになり、よくわかんないからね…」と言うことだった。貸出票を見ると、意外に女の子の名前が多かった。日本の女子野球、女子サッカー、女子ソフトボールの活躍が影響しているのかもしれない。
だいたい、野球のルールは勉強するものではなく、遊んでいるうちに体験的に身に付いてしまうもののはずである。それが、今は、野球のルールも本で勉強する時代なのかと驚いてしまった。それでも、遊びの幅が広がって、ルールも自分で調べて、友達と外で楽しく遊ぶことはいいことだ。室内にこもってゲームばかりしているよりも…。
余計なことであるが、本書の中身を紹介しておこう。
内容は、「競技場(グラウンド)、ピッチャーマウンドとバッターボックス、用具(ボール、バット、グラブ、ミット、ユニホーム他)、ポジション、コラム(野球の始まり)、基本ルール(ゲームの勝敗と進行、延長戦、フェアとファウル、攻撃、ストライク、フォアボールとデッドボール、インプレートボールデット、タイムとは)、ピッチャーの解説(ピッチャーとは、投球とは、投球の姿勢1・2、けん制球、ボーク)、バッターの解説(バッターボックス、打順、ヒッティング、バント、その他)、ランナーの解説(進塁の順番、ベース上にて、フライが上がったときどうするか、安全進塁権、走塁妨害)、コラム(知っておきたい野球用語)、キャッチボール(投げる、捕る)、バッティング(バットのにぎり方、構え方、振り方、バント)、審判の役割、主なプロ野球チーム(日本のプロ野球チーム、アメリカのプロ野球チーム)、さくいん」で、構成されている。
簡単な解説に、さし絵が要点を示して、「見てわかり」「読んで、あ~そうか」「読み終わるとすっかり分かる」という優れものである。