■“読む,書く,描く”をコンセプトに
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── よろしくお願いします。今年8月に児童用タブレットPC「CM1」が発売されましたが,まずは,「CM1」を日本でさきがけて開発・販売するに至った経緯と,「CM1」そのものの特徴について,それぞれお聞かせください。
渡辺守さん (以下,渡辺)「わかりました。じつは,日本の教育デジタル化や情報教育というのは,世界的に見ると,かなり遅れているんです。「CM1」と似たようなコンセプトの児童向けPCの導入は,すでに世界各国で展開されていて,そうした状況のなか,日本でも国内での議論が活発になってきたという背景があります。
教科書のデジタル化に関しては,総務省及び文科省は,教育デジタル化が進んでいる国に視察に行っています。そこで,デジタル教科書が,低迷している日本の教育を底上げするための一つのきっかけになればと考えたのかもしれません。こうした考えを盛り込んだ原口ビジョンという国の指針が示されたことを受けて,デジタル教科書に対応した最良のマシンをインテルさんと開発し,7月1日にリリースしました。
つまり,海外の事例をもとに,今後の教科書のデジタル化を見据えたかたちで,インテルさんと共同で開発し,今回の児童用タブレットPCをリリースしたということになります。
」
── 教科書のデジタル化については,ここ1年の間で急速に議論されるようになった印象があります。
渡辺「そうですね。私どもは,世の中のあらゆるコンテンツがデジタルになることを見越していて,タブレットPCの必要性も前々から感じてはいたんですが,現状のタブレットPCは,私どものものも含めて,あまりにも高価です。それなりのスペックはありますが,売価で20万円程度もします。これでは,学校現場での普及は難しいでしょう。今後,高校の情報科などで生徒が紙のように書いて使用するには,もう少し安価で提供できなければなりません。そこで,コストダウンを図り,従来のタブレットPCをさらにコンパクトにまとめたのが,今回リリースした「CM1」なのです。」
──「CM1」の開発にあたって重視したポイントは何ですか。
渡辺「いちばん重視した点は,学校教育において必要な“読む・書く・描く”という操作をコンピュータ上で違和感なく行っていただくということです。さらに,小学校低学年から使うことを考慮し,従来のパソコンとは少し異なる専用設計になっていて,表面
をゴム状にしたり,持ちやすいように取っ手をつけたりしました。機能はパソコンライクですが,外観は学校で使う道具箱のようなイメージで作っています。また,ヒンジタイプのタッチパネルディスプレイを採用することにより,タブレットPCとしてもノートPCとしても使えるようになっています。」
── いま,子どもたちに親しみやすく使いやすい外観というご説明がありましたが,ほかにも特徴はありますか。
渡辺「はい。例えば,ペンに関しては,ノートに書くように使えるというコンセプトに基づき,鉛筆やペンに近い太さのものを採用しています。また,モーションセンサーが常に上下を認識して,見やすいように画面
が自動に切り替わります。画面の解像度にもこだわりました。WXGAという規格を採用し,昨年に行われた学校ICT補正事業(スクール・ニューディール政策)で多くの学校にフルハイビジョンのデジタルテレビが導入されたので,これに連動させようということで,16:9のパネル比と同じ比率に合わせ,デジタルテレビとの親和性を高めて接続したときに端が切れたりしないようになっています。耐衝撃性にも配慮し,落としても壊れにくい設計にしています。」
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