2010 autumn
東芝情報機器株式会社
インタビュー(3)

公共営業部
渡辺 守 さん

 東芝グループは,日本を代表する総合電機メーカー・東芝を中核に,製品の製造からサービスに至るまで多岐にわたる会社で構成されているグループです。今回は,その中でITソリューションを提供している東芝情報機器を訪ね,新しく発売された児童用タブレットPC「CM1」についてお話しを伺いました。(聞き手:岡本)

 

■ 本格的に始まる実証実験 ■

── 出荷が始まったということですが,どのような学校へ出荷しているんですか。

渡辺守さん(以下,渡辺)「総務省が推進しているフューチャースクールの実証実験が今年度から行われるんですね。この事業の入札が東西に分けて行われ,全国10校のうち,東日本の5校では「CM1」の採用が決まりました。現在,導入の準備をしているところです。9月〜10月に導入して,5校すべての児童に「CM1」を持たせた実証実験が始まります。台数としては,約1800台になります。
 今回の実証実験で,「CM1」のようなPCが本当に有効なのか,あるいは,ほかのメーカーさんも発売しているもう少しハイスペックなマシンが有効なのか,東西で使用するマシン比較しながら検証し,その実証結果 が今後の教科書デジタル化の整備方針の参考にされると思います。」

── まずは「CM1」を試金石にして,デジタル教科書・教材の導入が加速していくのかどうかを見定めていくことになると思いますが,渡辺さんの考える今後のビジョンとは,どのようなものでしょうか。

渡辺「総務省がフューチャースクールを推進し,教育クラウドの完成を2020年度までに目指していますが,その指針に乗るようなかたちで,デジタル教科書教材協議会でも活発な議論が行われていくと思います。私どもは,さまざまな実証実験やいろいろな協議団体に積極的に関わっていき,「CM1」の必要性をアピールしていきたいと思います。そして,ほかのパソコンが約半年サイクルでバージョンアップをしているように,それらの実験や協議の情報をもとに,「CM1」の特徴に反映させていきたいですね。
 実際のプロモーション活動については,全国の市町村教育委員会に,販促資料を使って市場背景の説明から行い,これからの教科書デジタル化に向けて,いまの予算の範囲内で少しずつ導入を進めていただけるように営業活動を展開しています。
 そして,来たるべき本格的導入の際には,最良のマシンを提供して,トップシェアを獲得したいと考えています。」

── 現在,国内で発売されている児童用タブレットPCは「CM1」だけですから,現状では独走ということになりますね。

渡辺「幸いにも私どもが一番早くコンセプトPCを発売しましたが,この分野は,まだまだこれからだと思います。課題も多くありますし,本当にベストマッチな製品を目指さなければなりません。とにかく情報を多く収集して,教育現場やいろいろな関係教育機関に選ばれるマシンを作っていきたいと思います。」

── 学校教育現場で使いやすい,読み,書き,描くことのできる端末機を,タブレットPCで実現していく第一歩が「CM1」なのだということがよくわかりました。本日は,いろいろと興味深いお話を聞かせていただき,有難うございました。■


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