2004 spring

滋賀県立琵琶湖博物館
事業部長 中島 経夫 先生
インタビュー(3)

 日本最大の湖のほとりに建つ滋賀県立琵琶湖博物館は,「湖と人間」をテーマに,1996年にオープンしました。
 今回は,博物館の特色や研究内容などについて,開設準備室の頃から勤務され,現在は総括学芸員の中島経夫先生にお話を伺いました。

(聞き手:編集部 岡本)

 

■学校とのかかわり■

─― これまでのお話で,琵琶湖博物館の研究活動や交流活動など,特長ある運営をいろいろ伺えたかと思います。次に,学校との関係についてお聞かせください。

中島経夫先生 (以下,中島)「うちの博物館の学芸員は30数名います。そのうち4名は行政との人事交流で来ていただいている方で,他に2名の学校の先生に人事交流で来てもらっています。学校との連携については,その人たちを中心に,あとは嘱託の人にやってもらっています。  学校の利用は,今,大変多くなっています。まず,県内の学校の行事で博物館を団体利用される場合は,無料で利用してもらうようにしています。そのほかに,数年前,「びわ湖・ミュージアムスクール」というモデル事業をやりました。
 これは,小中高1校ずつモデル校を決めて,博物館を利用してもらう。子どもの自主的な発想で博物館を利用する授業にしてもらったのです。何回利用してもいいパスを発行しますので,調べたいテーマについて,何回でも,学芸員に聞いたり,展示を見たり,博物館の実習室とかを使ったりして,調べてもらうことができます。  小学校や中学校の場合は,課外授業的だと思います。高校の場合は,総合学習の単位 として位置づけてもらいました。博物館に来て,自分の調べたいことを調べて,それで終わったら2単位 を出すというやり方です。これをモデル事業でやったからいいのですが,どこの学校もそれをやらせてくださいといった場合にどうするか…… 」

── パンクしちゃいますね。

中島「やろうと思えばできます。学校側でそれをやるようなスタッフを用意してくれればいいのです。だから,学校というより教育委員会のほうですね。今は人事交流で2名の方が来ているわけですけど,それ以外にミュージアムスクール担当の学校の先生が博物館に常駐してもらえれば,十分,受け入れることが可能だと思います。」

── これは毎年行っている取り組みですか?

中島「モデル事業として2年間やったので,現在は行っていません。」

── 現在,行われている取り組みというと,何かありますか?

中島「もう終わっているのですが,今年度の事業で伯母川探検をやりました。伯母川は,草津市内を流れる川です。地域と学校,博物館の三者が連携して事業を行いました。公民館を利用して博物館を作ったのです。草津市内のある小学校の5年生全員を対象にして,伯母川にどんな魚がいるか,季節的に変えながら川に魚を捕りに行って,何匹かを標本にしたり,生きた魚を水槽に入れて飼って公民館に展示したりして博物館を作ったわけです。子どもたちの川を見る目が大きく変わりました。
 それから,団体利用として定められた学校には,単に展示を見るだけではなくて,体験学習で,体を動かして何かをやってもらっています。実習など,だいたい年間8000人から1万人の方が体験学習で博物館を利用しています。 」

── 学校との連携向けのプログラムとか,何かシートとか,そういうものはありますか?

中島「作っています。いわゆる学校の先生向けのガイドです。それからワークシートも作ってあります。学校の先生にこういう展示は小学校の何年生向けで,どこの単元で,課題は何なのかというふうなことを単元別 に分けて整理したのがあります。」

── 学校教育との連携に関して,次年度のトピックはありますか?

中島「いや。来年は特にありません。 」

── 学校では,総合的な学習とか,発展的な学習などが実施されてきていて,今後,学校の博物館利用は増えていくと思います。基本的なお仕事があるなかで,学校との連携を深めていくのも大変かとは思いますが,ぜひ活発な取り組みを期待します。


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