■ダスキンと
「暮らしの快適化生活研究所」■
── よろしくお願いいたします。本日は,ダスキンという会社の中で『暮らしの快適化生活研究所』がどういう経緯で設立されたのかということ,ダスキンが取り組んでいる掃除教育支援活動,掃除教育における環境教育的な側面
や,企業としての環境保全の取り組み,という3点でお話を伺いたいと思います。
―― では,まずは会社の紹介からお願いいたします。
植松秀行所長
(以下,植松)「ダスキンは,いろいろな事業を複合的に行っている会社ですが,その中でも大きな柱が掃除関連の事業です。クリーンサービスが中核の事業で,モップや商業施設などに敷くマット等をレンタルでお貸しするサービスを主体に行なっています。また,サービススタッフがお客様のところへ伺ってお掃除をしたり,害虫駆除をしたり,庭木の手入れをしたりするサービスもあります。一方,フードサービス事業では,ミスタードーナツを中心に,丼のチェーン,カフェのチェーン,とんかつレストランなどを運営しています。そのほか,シニアに向けたサービスや,生活用品等のレンタル,化粧品など,フランチャイズを中心にいろいろな事業を展開しています。」
──いろいろな事業をされていますが,掃除関連の事業が原点ということで,掃除教育にも取り組まれていると考えてよいでしょうか。
植松「そうですね。最近は,フードサービスの分野でしたら食育とか,製造部門なら環境教育とか,いろいろな教育支援活動をしている会社がたくさんありますが,掃除ということに限って教育支援ができる会社はダスキンしかない,という思いもあって取り組んでいます。」
――『暮らしの快適化生活研究所』は,どういう経緯ででき,どのようなことを研究してきたのでしょうか。
植松「ダスキンに『暮らしの快適化生活研究所』ができたのは2000年です。掃除を中心に事業を展開してきたダスキンが,一般
の生活者のみなさんが掃除に対してどんなお困りごとを抱えているのか,どんな洗剤や道具を使って掃除をされているのか,生活者の掃除の実態をつかむことを目的に,『暮らしの快適化生活研究所』を設立しました。
生活者の一人である「子ども」について考えたときに,子どもが一日の大半を過ごす「学校」の掃除実態をまず調査しようということになりました。その調査を進める中で,学校の掃除道具は,私が小学校の頃,40数年前と比べても全く同じであることに気づいたんです。家庭ではほうきなんかほとんど使われずに掃除機やモップなどが中心になっているのに,学校ではいまだにぞうきんとほうきとちりとりで掃除をしている,というようなことが見えてきたわけです。
また,「学校の先生は,どこから掃除の知識を得ているのか?」と聞くと,「小さいときに,お父さんやお母さんから,また,学校の先生から教えてもらった」という先生がほとんどで,「掃除の時間にどのように指導したらいいかわからない」という声もたくさんありました。そのような状況であれば,「掃除の会社ダスキン」として何かできることがあるのではないかということで,先生が学校で掃除の指導をする際に参考にしていただける「掃除教育カリキュラム」を制作いたしました。そして,そのカリキュラムを使って授業をしてもらうことで、掃除というものが授業として成り立ち,教育的意義をもつのではないかといった研究を進めてまいりました。」
── 『暮らしの快適化生活研究所』では,学校も研究対象の一つに位
置づけられているということなんですか。
植松「研究対象の一つとして考えるというよりは,
生活者を研究する中で,一般の生活者として子どもたちがいるし,その子どもたちは、一日の大半を学校で過ごすということから学校の掃除を調査することになったのです。
『暮らしの快適化生活研究所』は,あくまでも“研究所”ですから,学校の掃除などの調査・研究をしていくのが本来の業務ですが,調査・研究はひと段落ついて,現状がだいたい見えてきたと思っているんです。そこで,今年は,調査・研究からは一歩ふみ出した活動をしています。先生方からのご要望も非常に多いですからね。」
── やはり,調査・研究をして,現状がどうなっているのかを把握することは非常に大切なことですね。その調査・研究によって,例えば,子どもたちの掃除に対する学習機会が減っているという結果
が出れば,その問題に対するアクションを『暮らしの快適化生活研究所』の方がされていくのは,自然な展開ではないかと思います。
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