2008 autumn

株式会社ダスキン
暮らしの快適化生活研究所
植松秀行 所長
藤原玲子 主務

 インタビュー(4

 モップ,マットのレンタルから始まり,掃除関連業界をリードしてきたダスキンは,現在,創業から45年目を迎え,掃除関連サービスのほかに,フードサービスや介護関連サービスなど幅広い分野でわたしたちの暮らしをサポートしています。
 今回は,ダスキン『暮らしの快適化生活研究所』の植松秀行所長と藤原玲子主務に,ダスキンが取り組んでいる学校教育支援活動について,お話を伺いました。

              (聞き手:編集部 岡本)

 

■「暮らしの快適化生活研究所」の今後の展開■

──『暮らしの快適化生活研究所』の今後の展開は,どう描かれていますか。

植松 「これから考えていかければならない部分もありますが,一つは,出前授業のみたいなものに何らかの形で取り組んでいけないかと考えています。ダスキンは,フランチャイズで全国展開していますから,フランチャイズチェーン店のお力をいただきながら,出前授業みたいなものができたら,裾野はどんどん広がっていくでしょう。どうやっていったらいいのか,これから考えていきたいなと思います。
 今年度は,30回限定で教員向けのセミナーを実施しましたが,現在は地域もメンバーも限られています。今後はできるだけ多くの子どもたちに掃除の大切さを知ってほしいなあと思っています。ただ,会社ですから,これだけにお金を掛けられないということもあり,どうしていったらいいのか,これも考えていかなければいけない課題です。」

──掃除教育から環境教育に発展していく事例や,学校教育に限らずダスキンとして環境への配慮した取り組みなど,環境への取り組みについてお聞かせいただけますか。

植松「環境教育については,工場見学で企業が取り組むエコなどにもふれていただくということはやっていますが,現状では,掃除教育と関連させて取り組むところまではできていません。会社としても,環境教育に対して,今後,どう取り組んでいこうかという話がたぶん出てくるとは思います。掃除において物を大切にすることが環境教育につながるとは考えています。」

藤原「会社としては,工場見学という形式で,お客様のところから戻ってきたモップがきれいになっていくところを工場で実際に見ていただく取り組みをしています。ただ,それが,この『暮らしの快適化生活研究所』がやっているカリキュラムと連動しているかというと,まだ意識的につながってはいません。掃除に関連した取り組みでは,身の回りの物を使って掃除用具を作ろうというコンテストを『暮らしの快適化生活研究所』で行っていますが,そこでは“エコ掃除”的な要素も少しあるような気がしています。」

── 例えば,ダスキンでは,モップやマットを回収して繰り返し使うことを,創業当時から行なっていますが,昔はリサイクルや環境問題は話題にもならなかったと思うんですね。そういう意味では,昔からずっと続けられてきたことの大切さといいますか,価値がここにきて高まってきているのではないでしょうか。

植松「そうですね。たしかに,レンタルというこだわりはあると思います。商品開発の根底や,企業としての基本的な考え方の中に,やはり物を大切にするとか,繰り返して使うとか,物を使い続けるという形で受けつがれていますね。例えば,モップなどは,クリーニングしたあとの基準があって,その基準にはねられたものは,一部は廃棄にもなりますが,タカラ品といいまして,商品にはならないけれども宝なんだという意味を込めて,それをまたウエスとしてガソリンスタンドで使ってもらっていました。最後の最後まで活用というか,使っていただこうという基本的な考え方は,特にクリーンサービス事業の中で培われたんだと思います。」

── タカラ品という名前を付けて最後まで使うところなど,まさに環境教育の視点ですね。ぞうきんやふきんを使わずに,ティッシュペーパーでシャッと拭いて捨てちゃっているのも結構見ますよ。

藤原「それ以前に,ぞうきんが無い家もありますから。(笑)」

──ええ,そこが問題なんでしょうね。

藤原「ぞうきんを買うことはできますよね。教員セミナーでも,先生方に一枚ずつぞうきんを持ってきていただくようにしているんですけれども,手で縫ってるようなものを持ってこられる方は少ないですね。それに,先生方ご自身でもぞうきんを絞っていただくんですけれど,横絞りで絞られる方が結構いらっしゃいます。(横絞りの格好で)たぶんこうやって絞られる方が多いんですよね。先生であれば大人なのでこれでも絞れるんですけれど,子どもたちがこうやってしまうと力が足りずにうまく絞れないんです。ですから,先生方はこうやって縦絞りで指導してほしいというお話をさせていただくんですけど,掃除の授業の要望がこれだけ多くなっているのは,ぞうきんの絞り方ひとつとってみてもわかるような気がします。」


──会社の概要や「暮らしの快適化生活研究所」の設立の経緯から,中心的には掃除教育の取り組みについてご紹介いただき,タカラ品といった環境への配慮が感じられる事例まで,興味深いお話を幅広く聞かせていただくことができました。本日は,ありがとうございました。


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