2009 autumn
株式会社エディオン インタビュー(1)
IR・広報部 福薗 健 さん,丸住 善弘 さん,向田 万里子 さん


 エディオングループは,現在,家電量販業界第2位の売上実績をもち,全国に1000店舗を超えるネットワークを構築しています。今回は,グループの持株会社である株式会社エディオンのIR・広報部の方々に,エディオングループの発展の経緯や経営理念,環境への取り組みや地域社会への貢献などを伺いました。(聞き手:編集部 岡本)


 

■ 地域に根ざしたお客様第一の精神 ■

── きょうは,お忙しいなかお時間をいただき有り難うございます。エディオングループは,家電業界ではヤマダ電機に次いで規模が大きいと伺いましたが、どういう経緯で業界第2位 に至ったのか,そして,エディオングループではどのような企業理念をおもちなのか,そのあたりからお聞かせ願いますか。

向田万里子さん(以下,向田)「エディオングループは,それぞれの地域で歴史のある大型の家電量販店(事業会社)が,事業統合というかたちで展開をしているグループです。例えば,石丸電気は,関東地方を展開する一つの店舗ブランドですし,中部地方ではエイデン,近畿地方ではミドリ電化,北陸・北海道地方では100満ボルト,中国・四国・九州地方ではデオデオといったブランドで,全国に1,086店舗のネットワーク(2009年6月現在)を築いています。この事業統合に参画しているのは,いずれも長い歴史がある企業ばかりですが,それぞれがブランドを変えることなく,ノウハウ・特性を生かしながら,地域に根ざした経営を行っています。株式会社エディオンは,これらの企業の仕入れや販促,経理業務など,本部機能を一括して行う持株会社です。
 エディオングループは,『買って安心,ずっと満足』という経営理念を共有しています。経営理念は、みなが同じ方向にすすむときの一つの指針になりますので,『経営綱領』という小冊子にまとめて全社員が持ち日常の振る舞いや商売のあり方,お客様と接する心構えなど,すべての行動の源となる考えとして、いつでも立ち戻れるようにしています。」

── エディオングループは,各事業会社のブランドを保持しながら,事業統合を重ねて,規模が大きくなってきたんですね。そのきっかけは,いつごろだったのでしょうか。

向田「2002年の3月に,中国地方のデオデオと中部地方のエイデンの2社で事業統合をして,持株会社としてエディオンを設立しました。それ以降,家電量販業界では,各社の事業統合・合併などによる業界再編がさかんに行われるようになり,上位企業による寡占化が進んでいきました。こうした寡占化が進む中で,お客様起点ですべてのことを考え,お客様にとって最高の満足が得られる商品をご提案し,買っていただいた後も商品を常に最良の状態で使い続けていただけるよう安心のサービスをご提供,そして末永くお付き合いいただきたいという,同じ志を持つ企業がともに歩んでいるのがエディオングループです。当初2社で設立したエディオンに,ミドリ電化が入り,次いで石丸電気,サンキュー(100満ボルト)が入ったという経緯になります。」

―― これだけ多くのブランドを一手に束ねるのは,さぞかし大変なこととお察しします。例えば,経営理念で,古くからある企業数社が一つにまとまることは,難しい面もあるかと思いますが,どうですか。

福薗健さん(以下,福薗)「グループ化にあたっては,ある程度同じような理念をもった企業同士の話し合いになりますので,まったく違う考えの企業とのグループ化はないといえます。したがって,お客様を第一に考え,末永くお付き合いいただきたいという理念の点では,企業間での相違はありません。各企業は、エリア特性に応じた営業施策を講じているため、結果として得意とする領域が異なりますので,施策的な面で調整が必要になることはありますが,基盤となる理念的な面で一致できないことはないです。」

── エリアごとのちがいは,地域に根ざしてきた企業がよく承知していることでしょうから,一つの理念にもとづくグループ化によってスケールメリットを生み出しながら,地域ブランドは保持してエリアごとの戦略を有効に立てられる,まさに一石二鳥の事業統合といえますね。

向田「お客様のニーズを考えながら接客や商品開発をしていくという姿勢が,グループ全社の考えの根底にありますので,理念としても共通のものを持てるのだと思います。確かに,企業文化はそれぞれ違いがありますが,そこは逆に,それぞれの企業で蓄積されてきたノウハウなど,よい部分をグループ内で共有化することによって,さらによい方向にもっていくことができています。」

── オリジナルブランドの開発もされているんですね。

向田「オリジナル商品は,『KuaL(クオル)』というブランドで展開しています。お客様から接客時などにおうかがいする要望やご意見,例えば,こんな機能があったらもっと便利になるのに,という声をもとにして,メーカーと共同で商品開発していくというスタイルを,以前からとっていました。さらに,エディオン設立前にデオデオで行っていた『お客様モニター制度』を,今年度からエディオングループで導入しました。これはお客様に実際に商品を使っていただいて,率直なご意見や改善要望をいただき,オリジナル商品の開発へつなげるという試みです。このように,家電製品を使って得られる便利さ・豊かさを楽しんでいただくために,エディオングループの店舗にしかない,弊社オリジナルの商品を開発・販売しているのです。」

── 地域ごとにブランド展開をされていますが,お客様のニーズの地域差は,オリジナル商品には反映されているのですか。

向田「オリジナル商品に反映する付加機能というのは,地域ごとに変えるというよりも,むしろマナーモードのついた静音設計の掃除機や,押しやすいキーボードなど,どの地域のお客様にも喜んでいただける機能が多いですね。しかし、面白い例もあります。エアコンのオリジナル商品で,室外機に塩害やサビに強い加工を施した商品があります。これはもともと海沿いの地域のお客様の「潮風で室外機がすぐ錆びる」という声をもとにして開発したのですが,錆びにくく長持ちする室外機は,全国のお客様に共通するニーズでもありましたので,結果的には全国的に展開し,大変好評をいただいているんですよ。」

── エディオンのオリジナル商品『クオル』として付加価値をつけた機能を,メーカー側が商品に標準装備したいと相談してくるケースもあるかと思うのですが。

向田「それは,たくさんあります。」
福薗「その機能が本当に必要なものであれば,お客様のためにも広く普及したほうがよいと思いますので,その機能はメーカーに還元しつつ,次の新しいオリジナル商品の開発をすすめるようにしています。そうした声がメーカー側からあれば,エディオンの商品だけに限定してほしいという囲い込み方はしていません。」
向田「以前,まだ『クオル』を展開する前の話になりますが,ハンズフリーで通話のできる電話機が登場しましたね。あの商品は,デオデオの『お客様モニター制度』の声をもとにして作られたものなんですよ。あとは,左右どちらからでも開く両開きの冷蔵庫も,「転勤して間取りが変わった時に開く方向が逆になって困る」といった,私どもが収集したお客様の声がもとになって作られました。取り扱う商品は,常にお客様にとって最適でより使いやすいものであってほしいので,お客様の声は随時メーカーにフィードバックしています。」


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