2009 autumn
株式会社エディオン インタビュー(3)
IR・広報部 福薗 健 さん,丸住 善弘 さん,向田 万里子 さん


 エディオングループは,現在,家電量販業界第2位の売上実績をもち,全国に1000店舗を超えるネットワークを構築しています。今回は,グループの持株会社である株式会社エディオンのIR・広報部の方々に,エディオングループの発展の経緯や経営理念,環境への取り組みや地域社会への貢献などを伺いました。(聞き手:編集部 岡本)


 

■ 家電量販業界に求められていること ■

── エディオングループは,家電小売業界第2位ということですから,業界への影響力は決して小さくないと思いますが,いまの社会やこれからの社会に,業界はどのような役割を果たしていけばよいと考えていますか。

向田「私どもは,お客様と直接的な接点の多い企業なので,企業市民という考え方が大切だと思っています。やはり,お客様を起点に物事を考え行動し,地域とともに歩んで成長し,地域の活動・貢献を行っていくことが,お客様に身近な店舗を展開する企業の使命ではないでしょうか。また,家電製品は生活必需品でもありますので,家電製品を使った便利で快適な生活を提案することも大切だと思います。それぞれのお客様に合った,いちばん最適な製品を使っていただき,喜びや利便性を感じていただき,その製品を長く使うことのできるサービスを施すことも,家電製品を扱う小売業の役割であり,それは,『買って安心、ずっと満足』という,私どもの経営理念に通じてくる考えです。」

── 生活の提案というお話に関していえば,技術面のアドバイスと生活面のアドバイスでは専門性がちがうと思いますが,それぞれ専門的なアドバイザーがいらっしゃるのですか。

向田「勉強会や研修を日々行い、スタッフのレベルアップを図っています。家電製品アドバイザーの資格を有して専門的な知識を身につけている者も多数配置しています。」

── 家電製品アドバイザーとは,どのような資格なのでしょうか。技術面のアドバイザーと生活提案のアドバイザーがいるのですか。

丸住「家電製品アドバイザー資格は,商品知識と提案力,関連法規の理解,という三つが高いレベルになければ取得できない資格です。家電製品アドバイザーには,テレビやパソコンなどを専門とする『AV情報家電アドバイザー』冷蔵庫や洗濯機などが専門の『生活家電アドバイザー』,その両方の知識を有する『総合アドバイザー』の3種類があります。これらは,非常に現場に即した資格で,実際の接客に役立ちますので,会社としても社員の資格取得を強く促しています。2009年6月現在,グループ全体で4,074名が取得しています。」
向田「これら家電アドバイザーの資格を取得するためのスクーリングも,エディオングループ全体の教育プログラムの一つとして位置づけています。ほかにも,接客技術力アップ研修など,いろいろな教育プラグラムを用意し,社員のスキルアップをはかっています。」

── そうした資格を取得し,お客様に対して適切なアドバイスがあれば,お客様も間違った買い物をしなくなり,ひいては顧客満足につながっていくのでしょうね。

丸住「はい,この資格は非常に役立つんです。店頭に,『当店にはこれだけの家電アドバイザーがいます』と顔写真の一覧を設置しています。また,アドバイザーは資格証を首から提げていますので,お客様からも一目瞭然です。資格を持っているスタッフのもとには自然とお客様が集まります。お客様からの信用度が違うからです。だから資格を持っていないスタッフは自分も取得しようと奮起して勉強します。するとスタッフのレベルは上がり,お客様に満足いただける接客ができるようになる。つまり,お客様にとっても社員にとってもよい資格なんです。」

── お客様への適切なアドバイスは,重要ですね。もう少し広く考えれば,省エネ型の家電の普及推進に際しても,これは日本のエネルギー問題と密接なかかわりがあり,環境問題やエネルギー問題と省エネ型家電との関係など,一般の方々の意識をより高めていく企業側の努力も必要になる時代かと思います。

丸住「そうですね,家電量販店として,これから大切なのは,情報発信だと思います。環境にやさしい生活やエコロジーを考えたときに,お客様は具体的にどのような貢献ができるのか,例えば,どの製品を購入することが結果的に環境にやさしい生活になるのかをお伝えすることが家電販売店の役割だと思います。たとえば冷蔵庫は,電気代が10年前に比べて半分以下になっています。消費電力が少ないということは,それだけ環境にやさしいということです。また電化製品の中には環境に配慮した素材を使った商品や,リサイクル時のことまで考えて作られた製品がたくさんあります。こうした情報をお伝えし,適切な製品をご提案することで,お客様の意識が高まり,環境にやさしい電化製品が普及し,環境問題が改善されていく。そういう意味で,私たち家電販売店の役割は非常に重要であると考えています。」

── 家電製品は生活必需品ですが,その中身は専門的で素人がみてもわかりません。省エネ家電のメリットを一般の方々にもわかるように伝えていくことは,これからますます重要になってくると思います。とくに省エネ家電は,普通の製品と何がちがうか見えにくいですから。

丸住「おっしゃるとおりです。的確な商品説明やご提案ができなければ,お客様は価格だけで判断されますから,付加価値の高い(環境にやさしい)商品は売れません。そんなお店は安いものしか売れず,結果的に利益も増えなくて,淘汰されていくのだと思います。逆に,環境への取り組みなどプラスアルファの付加価値がお客様に説明できる店は,結果的に利益が出て発展していくんじゃないかと思います。」

── いまの時代は,経済面でも環境面でも,何が中長期的にみてよいのか,適確なアドバイスをもとに一般の方々が判断することが大切なのでしょうね。


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