2009 autumn

株式会社エディオン インタビュー(2)
IR・広報部 福薗 健 さん,丸住 善弘 さん,向田 万里子 さん


 エディオングループは,現在,家電量販業界第2位の売上実績をもち,全国に1000店舗を超えるネットワークを構築しています。今回は,グループの持株会社である株式会社エディオンのIR・広報部の方々に,エディオングループの発展の経緯や経営理念,環境への取り組みや地域社会への貢献などを伺いました。(聞き手:編集部 岡本)


 

■ 環境への取り組みと地域社会への貢献 ■

── エディオングループは,近年,環境への取り組みに力を入れているそうですが,いくつか例をご紹介いただけますか。

向田「企業としての取り組みや,地域社会への貢献など,さまざまな角度から活動を行っています。一例をあげますと,省資源の観点からハーフサイズの名刺を導入したり,省エネの観点から新規店舗を中心に省エネ設備を導入したりしています。また,平成20年度の(財)省エネルギーセンターが認定する省エネ型製品普及推進優良店に250店舗が認定されました。これは,2年連続日本一となる店舗数で,グループ全体で省エネ型製品の普及を推進しています。」
丸住善弘さん(以下,丸住)「省エネ型製品普及推進優良店に認定されるためには,環境問題や省エネをアピールできるツールがどのぐらい店頭に完備されているか,実際にどのぐらいお客様に省エネ型製品をおすすめできているかなどの厳しい基準をクリアしなければなりません。それだけに,認定店舗数が2年連続日本一というのは,非常に中身のある数字だと思っています。認定されたことが自信になって店員のモチベーションも上がり,お客様に対する省エネ製品の説明にも熱が入ります。」

── 最近,エコポイント制度が始まりましたが,この制度と省エネ型製品の普及とは,どのような関係がありますか。

向田「省エネ性能の高い商品をお勧めすることは,エコポイント制度が導入されたからということではなく,従来から取り組んできました。エコポイントの対象商品は,省エネへの貢献度が高いものになっていますので,重点的にお勧めしています。最近は,お客様の省エネへの関心が高まっていて,商品としても省エネを意識したものが多くなっています。
 また,エコポイント制度の対象商品は,薄型テレビ,冷蔵庫,エアコンの3品目になりますが,それらの商品は,5月15日の制度開始から,前年より40〜50%上回る販売数になっています。政府の推進する経済対策ということもあり,お客様にとってはお買い得感があると思います。どこの家庭にも家電製品はあり,家電製品=生活必需品という考えから,お客様の買いやすさを訴求しています。」

―― 地域社会への貢献として,植樹は,直接CO2を減らすだけでなく,地域の緑化のはたらきもあり,いろいろな自治体やNPO,企業などが取り組んでいますが,エディオングループも植樹に取り組まれているそうですね。

向田「はい,例えば,広島では,山林の復旧のために,2004年から植樹に取り組んでいます。エディオングループは,中国地方のデオデオ,中部地方のエイデン,近畿地方のミドリ電化など,それぞれの展開エリアで地域貢献活動を行っています。
 ほかにも,地域社会への貢献として,一斉清掃活動を行っています。清掃は日常的に全店舗で行っていますが,『クリーンおおさか』という大阪市のイベントに合わせて,グループ全社一斉に清掃活動を実施しました。」

── 地域の方々が直接目にすることのできる植林や清掃活動は,地域を大切にする企業にとっては,大きい効果があるでしょうね。

丸住「『クリーンおおさか』のときは,店舗の外に出て行って,向かいの道の溝を掃除したり,植え込みの中のタバコの吸殻を取ったり,かなり幅広く清掃しました。店舗の敷地の外で掃除をしていると,街の皆様が「ごくろうさま」「がんばってね」などと声をかけてくださいます。参加した社員は口を揃えて「すごく嬉しかった」「地域の皆様とのつながりを感じた」と言います。これは,社員教育の面からも非常によい取り組みだと思います。」

── 店舗に省エネ型の設備を導入して,実際に環境負荷低減の取り組みをすることも大切ですし,一方で,地域の方々に環境・エネルギーに関する活動を企業が行っていることを知らせるのも大切ですね。

丸住「ちょっとわかりにくいですが,右の写真の奥に,道の脇の溝に入って清掃をしている人物がいます。道路のごみを拾うことはあっても,溝の中にまで足を突っ込んで掃除するのは,なかなか勇気のいることですが,これ実はミドリ電化の社長なんです。社長がこうだから,社員もやらざるを得ないんですよ。(笑)グループ全社,社長自らが清掃活動に取り組んでいます。」

── それは社員にとっては大きなプレッシャーですね。(笑)本当に頭が下がります。
 
これまで,植林や清掃活動など,地域社会への貢献を中心にお話をうかがってきましたが,エディオンでは,職業教育的な貢献として,こどもが職業体験できる施設『キッザニア』への出展も果たしたとうかがいました。

向田「今年3月27日に西宮市でオープンした『キッザニア甲子園』に,6月17日,ミドリ電化のパビリオンとして『家電修理センター』を出展しました。家電製品の修理を通じて,モノの大切さを学んでいただいたり,家電製品の構造を理解していただいたりすることを目的にしています。」
丸住「今,『家電修理センター』で行っているのは,壊れた掃除機を題材にして,みんなのチームワークで,どこが壊れているのかを見つけて修理しようというアクティビティです。物販はほかにありますので,ミドリ電化では,修理をテーマにすることにしました。こども達は,機械の中がどうなっているのか,非常に興味をもちますね。動かない掃除機を自分達で分解して,壊れた部分を直して,動くようにする…。こども達にとって非常にエキサイティングで達成感のある体験ではないでしょうか。また,それを通して,『モノを長く大事に使うことの大切さ』をメッセージしています。そういう意味で,エコの取り組みの一環でもあると考えています。
 『家電修理センター』では,大人が最小限のガイドはしますが,できるだけこども達だけで検査・修理を行ってもらうようにしています。中にはドライバーを握ったことのないこども達もいますから,持ち方や回す方向などは教えます。そういった基礎的なことから始めますので,初体験の楽しい感覚で,こども達は夢中になって取り組んでいます。」

── そうですね,最近のこどもは道具を手にする機会も少ないですから。開けてはいけない箇所を開けられては困りますが,そうした指導もふくめ,初歩的な家電製品の構造や取り扱いについて学ぶチャンスを提供しているのは,素晴らしいことだと思います。

丸住「いまおっしゃったことは,最初に私どもも懸念しました。この体験でこども達が変に自信をつけ,『ぼくがお父さんのテレビを修理してあげる』などと言って,むやみに分解されては大変です。そのようなことが起こらないように,『おウチの電化製品が壊れたときは自分で触らず,必ず専門の修理スタッフがいるところに持って行こう。そして大事に使おう』というメッセージも同時に送っています。」


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