■アジアの恐竜センター■
── この恐竜博物館の特色というと,何になりますか?
濱田隆士先生 (以下,濱田)「恐竜博物館は,日本に一つしかない専門の博物館です。例えば,幕張メッセの『世界最大の恐竜博2002』などは種類も多かったですが,期間が終わるといなくなっちゃう。ここは,いつ来てもあるんですよ。日本で絶対多数の標本を持っているアジアのセンターです。それで,アジアのセンターだったら,恐竜を集めちゃおうということで,いま30体以上もの恐竜骨格がところ狭しと並んでいます。」
──
そうですね,常設展示であれだけの数があるというのは,すごい迫力ですよ。あれだけ揃うと圧巻ですね。
濱田「びっくりするでしょ,あっちでは音がしてるし,そっちではジャンプしてるし。(笑)かなりお金はかかっているんです。それは,ひとえに知事さんの大英断ですよ,先見の明があるというか。標本の散逸を防げましたし,全国から人を集めての共同作業がとても力になりました。
ここではね,なんと,カッターで石を切るんですよ。そうしたら,恐竜の足跡がスライスされて出てきたんです。カッターで切ったものは,そのまま展示してあります。このあたりは昔,中国大陸から流れてくる川がつくった手取湖という古代の湖で,日本海はありませんでした。その岸辺に恐竜の足跡がついて化石になったんです。転石や露頭では見つかっても,スライスして見つかるのはすごく珍しい。それと,もっとすごいのは,足の裏に皮膚が残っていたことですよ。ところがね,これはあまりニュースにならないんです。こういうことは,小学生に,特に恐竜好きの子どもたちに伝えたいですね,小さな囲み記事でもいいから。ほかにも,“日本では恐竜の卵も出ているよ”とかね。
」
■学校との連携■
── 学校との連携については,どうお考えですか?
濱田「博物館には研究者がいて,学校には先生がいます。この二つの違いは何でしょう。博物館の研究者は,すごい研究実績はありますが,学校の先生としては全く駄
目なわけ,実習をやっていないから。体験や知識をどう話したらいいのかという技術がない。例えば,博物館の研究者が植物の花の学習をするために野外に行ったら,子どもは無邪気ですから,カエルがいてそれに夢中になっちゃって,その授業は全部カエルの学習になっちゃう。(笑)これが駄
目だというのは文科省の言い分ですね,カリキュラムがなってないとね。そこで,指導にあたっては,博物館の研究者と学校の先生が一緒に取り組むのが望ましい。ところが,学校の先生が博物館を利用するとき,『はい,何時から何時まで。行ってこい!』という人が少なくありません。残念ですね,これは。
学校のあり方についてもう少し言うと,学校は,文科省の検定を通った教科書を使いますね。そして,ここまではやっていいが,ここから先はやってはいけないと言っているんですよ。新聞を読んでいれば,すごく知識が広がるじゃないですか。大人がやっていることなのに,子どもはフィルターをかけて通
れません,ではすまないでしょう。社会はそういうものではない。学校教育は,家庭教育じゃなく,社会学習じゃないといけませんね。学校に残っている規制は,早く解きほぐしたほうがいい。
」
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