■学校などとの連携■
── 学校教育との連携について,具体的な話があれば教えていただけますか?
山崎哲夫さん
(以下,山崎)「学校との連携では,まず,修学旅行に使われることが非常に多くなりました。札幌の学校では,留寿都,洞爺,ニセコなどが多かったようですが,今年は旭山動物園にしたいという相談をたくさん受けています。
それに,出張授業といって,動物を連れて学校で授業をするんです。25年前に愛宕小学校で行われたのが最初だと聞いています。例えば,ヤギを連れていき,触らせるんですね。『触ってみてどんな感じがする?』とか,『これがヤギの角だよ』とか,本物を教えるわけです。」
── すると,出張授業は,いま動物園にある「こども牧場」を学校で再現しようというものですね。
山崎「まさにその通りです。昔は,『こども牧場』などなかったので,こちらから学校に出向いて,そういう機会をつくったんです。現在は,『こども牧場』がありますが,昔からの出張授業も続けています。なかなか時間がなくて,すべての学校にうかがえないのが残念ですね。」
── 出張授業など学校との連携は,具体的にはどのように行われているんですか?
山崎「出張授業については,動物園側からパンフレットを出して申し込みを募り,学校側からの依頼を受けて出張授業を行っています。また,そのほかに現在,動物園内でズーガイドのような簡単なプログラムのクイズを行うこともあり,来園した学校では『総合的な学習の時間』の一環として,このプログラムに取り組まれているようです。これは,飼育員が『キリンの角は何本あるか探してみよう』といったクイズが書いてあるシートを来園者に渡して,あとで答え合わせをするというものです。しかし,人気が上がっても,それに見合って職員が増えているわけではないので,学校からの要請に応えきれていないのが実態ですね。平成8年の頃からみると,管理部門の職員は増えるどころか減っていますから。」
── わかりました。学校との連携として,学校への出張授業があり,来園者に対しては簡単なプログラムをもとに飼育員が対応しているということですね。
山崎「はい,飼育員が対応しているというのがミソなんですね。よくボランティアガイドさんがいる動物園はありますけれど,私たちは,現場の生の声を皆さんに伝えたいというのがあるんです。ホームページも外注していないんですよ。だから,じつはホームページを見ると雑多なんです。飼育員が書いた文章をそのまま掲載しているから,書きぶりがページによって違うんです。
見た目は雑然としていますが,生のにおいが感じ取れるのではないでしょうか。
」
── 旭山動物園には,友の会のような組織はあるんですか?
山崎「ないですね。動物園クラブという,動物園が好きな人同士の会はありますが,そこでボランティアをやってくれる団体ではありませんから。本当であれば,ボランティアは欲しいところです。園内を案内してもらいたいという声が最近は多いんですが,とても職員の手が回りませんから。しかし,現状では,ボランティアを組織して管理するまでの余力はありませんね。」
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