2006 autumn

科学技術館
館長 有馬 朗人 先生
インタビュー(1)

 科学技術館は,日本の科学技術や産業技術に関する知識を広く普及・啓発する目的で,財団法人日本科学技術振興財団が設立した施設で,昭和39年4月に開館しました。
 今回は,館長の有馬先生に,科学技術館の特徴や将来,科学館の社会における役割,日本の科学教育の現状と課題など,さまざまなお話を伺いました。

(2006.7.31 聞き手:編集部 岡本)

 

■いろんなことをやらせてもらっている■

── よろしくお願いします。先生は,いろいろとお仕事をされているので,なかなか館長職ばかりをしていられないのではないですか。

有馬朗人先生 (以下,有馬)「今年の4月から武蔵学園の園長も兼ねることになったからね。武蔵学園は,私の母校なんですよ。旧制の武蔵中学校・高等学校がそのまま新制の中学校・高等学校になって,今は大学・高等学校・中学校が一つの武蔵学園になったんですね。専任で園長をやってくれと言われたが,科学技術館でもやることがあるので,こちらに月・金と来て,向こうに火・水・木と行っている。両方とも常勤だから,分けてはいるけれども,こっちは二日分だけやっていればいいかというと,そうもいかない。例えば,先週の日曜日には,今やっている「水の祭典」「科学の祭典」に皇太子殿下がお見えになりました。そうなれば,日曜日といえども出てこなければならない。武蔵学園のほうも,例えば,月曜日の夜に会合があれば,行かなければならない。結局,1足す1が3ぐらいになっています。(笑)」

── 先生が今までずっとご活躍されてきたからこそ,まわりがゆっくりさせてくれないのでしょうね。(笑)

有馬「ほかにも,子どもたちがキレる問題,情動とかエモーションとかいいますが,それを教育学者・脳科学者・社会科学者が一体となって議論する委員会の座長など,いろんなことをやらせてもらっているから,本当は科学技術館に専念したいがなかなかそうもいかない。今日もこれから,富士吉田に行くんです。中学校2年生を日本全国から40人集めて,今年は物理を中心に合宿するんですよ。私も講義をするし,小柴さんや江崎さんにもやってもらう。それから,スーパーカミオカンデをずっとやっていた戸塚さん,電子顕微鏡の世界的大家・外村さん,ここでやってもらってる実験の名手・米村さん,滝川さんを中心としたガリレオ工房,中学校の理科教育研究会会長の中村さん。彼らと一緒に2週間,朝から晩まで講義と実験をやる。」

── それは,ネットジャーナリズム協会の企画ですね。

有馬「そうです。関本―有馬塾,もう聞こえてますか。」

── はい。

有馬「私が言いだしたら,お金を出してくれるところがあって,これから3年間やろうと思ってます。来年はすでに野依さんと白川さんに頼んであります。」

── そうそうたるメンバーですね。

有馬「要するに,私の友達ばっかり。(笑)来年は,化学を中心にしてやる。再来年は,利根川さんを呼んで,医学や生物を中心にしたものを考えている。これを3年間やってみて,うまくいけば私は辞めて誰かにやってもらう。(笑)」

── なかなか辞めさせてもらえないんじゃないですか。(笑)その企画は,物理・化学・生物と,年度ごとに色分けされているんですね。?

有馬「結局は物理だけになっちゃうかもしれない,何といっても私の友達は物理が多いからね。広中平祐さんにも頼もうと思ったけど,今年は物理のノーベル賞受賞者が二人も来るし仲間も来るから,来年お願いして,数学的なことを話してもらおうと思っています。」


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