1 適切に運筆する力=すべての学力の基礎
(1)すべての学力の基礎となる「よい姿勢」「鉛筆の持ち方」
作業療法の視点から,運動面に着目し,合い言葉を唱えることによって楽しみながらよい姿勢・鉛筆の持ち方を定着化できるような活動を設けました。
よい姿勢を保つには,
腰を起こし,背筋を伸ばすこと
が大切です。体幹を整えるために合い言葉を唱えることで,よい姿勢を習慣化できるようにしました。
効率のよい鉛筆の持ち方
をすると,疲れにくく,適切に運筆することができます。
親指の機能を高める運動を行うことで,楽しみながらよい持ち方を意識できます。
こちらから鉛筆の持ち方の動画が視聴できます。
ウェブサイトのご紹介
作業療法士 笹田哲先生のコメント
子どもが書いた文字だけに着目するのではなく,書いている時に,子どもの体にも目を向けましょう。 文字は体全体を使って書いているので,姿勢,持ち方も大きく関係します。文字を「書く」ことが,その子にとって,自分のよさを「欠(か)く」のではなく,もっと書きたいと意欲を引き出したり,文字への関心を広めたりと,いろいろなことを「獲(かく)得」する機会になってほしいと思います。
プロフィール
神奈川県立保健福祉大学大学院 教授 日本発達系作業療法学会 理事
専門分野:発達障害児への書字指導,体育指導,学用品の使い方,特別支援教育
(2)巻末の「水書用紙」で,わくわく!ぴたっ!すうっ!
新学習指導要領では,低学年において,「適切に運筆する能力を高める」ことが求められています。
そこで,1年生教科書の巻末に「水書用紙」を添付し,水書用筆(すいしょようひつ)など穂先が柔らかい筆で練習できるようにしました。
子どもたちが運筆を楽しみながら力の入れ加減を知ることで,鉛筆で書くことにも生かすことができます。

使用する筆
(水書用筆を使用するほか,絵筆などに水をつけて使うこともできます)
(こちらから水書の運筆動画が視聴できます。)
水書用紙 教育出版の特徴
- 活用場面が理解できる用紙。
- 一年生の第一教材「くつ」と同じ運筆が練習できる。
- フリースペースがあり,他の文字も練習できる。
- 鮮やかな発色で楽しく学習できるグリーンの用紙。
水書を使うと,こんな力が身につきます

- 墨ではなく水で書くので,手が汚れない。
- 時間の経過とともに筆跡が消えるので,繰り返し練習できる。
水書用筆を使用した学習を体験することで,
鉛筆で書くときも,次のような効果がある。
- 無理な力を入れずに運筆する習慣がつく。
- なめらかに運筆できるようになる。
- 鉛筆の持ち方がよくなる。
「運筆リズム」を体感する
長野秀章先生のコメント
水書学習について
新指導要領における水書用紙の扱い
(第1学年及び第2学年の内容)
適切に運筆する能力の向上につなげるには,「水書用筆(すいしょようひつ)等を使用した運筆指導を取り入れるなど,早い段階から硬筆書写の能力を高めるための関連的な指導を工夫することが望ましい。」との文言が加わりました。
- 水書用筆は,硬筆で「適切に運筆する能力を高める目的のための用具」として例示されています。
- これまでの「文字の形」中心の指導から,「運筆する能力を高める」指導への転換が求められています。
「なぞり書き文字」で定着を図る
指や水書用筆でなぞる活動の充実のために,なぞり書きができる文字例を増やしました。
(3)「穂先の通り道」が明快な図版
定評のある,「穂先の通り道」が明快な図版は,新版でも継続して扱うことで,確実な定着を図っています。
「まなびリンク」には,すべての毛筆動画を収録
教科書に収録されているすべての毛筆教材について,書いている様子を真上から撮影した動画が視聴できます。