来たるべき時代の教育と教育学のために
来たるべき時代の教育と教育学のために 能力開発から能力制御への重点移動
- 安彦忠彦 著
- 四六判 並製 200頁
- 2022年8月 発行
- ISBN 978-4-316-80504-7
- 定価 (税込) 2,200円(本体 2,000円+税)
- 読者対象:教師・研究者・一般
商品内容
学習指導要領の改訂をはじめ我が国の教育を方向づける施策に深く関わり続けた著者が、独自の視点から、教育の本質、教育と環境の関係、教育の目的・領域・内容・方法・効果、教育行政の在り方について論じた上で、それらを踏まえて導き出された持続可能な社会のための「未来に向けての教育」を提言。
目次
序 章
第1章 「教育」とは何を指すのか――「教育の本質」は何か
「教育の本質」とは「人間を人間らしくすること」にある/「人間の存在の捉え=人間の所与性」:「教育」を考える上で視野に入れるべき人間観/「教育」をするのは「人間」のみ:他の動物は「学習(模倣)」させるのみ=「発達の最近接領域」
第2章 教育と環境――教育と人的・物的・制度的環境との関係
教育においては「遺伝的・先天的素質」が重要か、「環境的・後天的学習」が重要か/私教育と公教育の明確な区別と連携:学校教育は公教育の一部/人間は誰によって教育されねばならないか:AIその他のICTなどによる教育の在り方=ハイブリッド型ないしブレンド型(複合型ないし混合型)教育の必要性と位置付け
第3章 「教育の目的」は何か――教育は何のために行うのか
自立と共生、自己教育力、主体(主権者・当事者意識)形成、問題解決力・創造性等の能力開発、持続可能な社会のための教育/自発(自然)的学習→〈他者による教育〉→自律(自覚)的学習=自己教育・自己学習・個性的自立=「学習」が主旋律、「教育」はそれを補助する活動/能力(自己)開発型と能力(自己)制御型
第4章 「教育の領域」にはどんなものがあるか――教育が扱う価値とその軽重をどう見るか
人間の育成すべき部分の区分け方:知・徳・体(スペンサーによる対象区分)/認知と非認知:理性・知性と情動・感性・感情→「道徳性・人格性・人間性」軽視/能力と学力の異同/「身体・心理・精神」の三領域
第5章 「教育の内容」は何か――教育は何を教え育てるのか
公教育と私教育とでは「内容」が違う/教育内容の決め方:最少の内容で最大の効果を!/学習や教育の対象:「人格」と「資質・能力」/地球市民教育:国民国家を超える世界国家
第6章 「教育の方法」は何か――教育の仕方:直接の指導技術・方法・方略はどうするのか
「学習」を前提する教育方法論:特定の学習理論に依拠せず、あらゆる学習理論を目的に応じて組み合わせる/学習意欲の捉え方=意志と欲求の二つから成るもの:第一法則と第二法則/発達段階論:発達段階に応じた主な目的に合わせて、内容・方法を組み合わせる
/習熟度別指導の望ましい在り方/指導活動(発問・指示・説明・評価)面から見た授業研究の視点例
第7章 「教育の効果は何か」――教育の成果をどう評価するのか
教育の効果として何を測る基準にするのか:「測定」と「評価」と「評定」の区別/「自己評価」はどうか:「個の確立」のために/「自己肯定感・自尊感情・自信」の育成を目指す評価
第8章 国の教育行政の在り方――教育課程を中心に
「子供の未来決定の自由」とそれに基づく「教育の中立性」の意義/公教育における「公権力」の質如何:後期中等教育以後はすべて「生涯教育」とする/学校と義務教育の在り方:就学義務と教育義務/六-三-三制から四-四-四制への学校制度の改革:子供の発達段階とゆとりある教育に配慮して/大学・大学院の「生涯教育機関」化に見合う社会へ:「高大接続」の変革を前提に/教育の経済格差問題
終 章 未来に向けての教育の提案――開発型から制御型への「重点移動」
「近代的教育観」の基礎にある「楽観的人間観」への正面からの反省/公教育=学校教育中心に「能力・学力」から「資質・人格」への「重点移動」を/「ICT・AIを自分用に活用する=自己研鑽・自己研修に使う」人間の育成を/地球環境問題を含む宇宙時代への教育は「制御型」しかあり得ない
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