子どもの姿に学ぶ教師

子どもの姿に学ぶ教師 「学ぶ意欲」と「教育的瞬間」
- 鹿毛雅治著
- 四六判 240頁
- 2007年1月 発行
- ISBN 978-4-316-80203-9
- 価格 (税込) 2,420円(本体 2,200円+税)
- 読者対象:教師
商品内容
授業のよし悪しを決める鍵は,教師の一人ひとりに身体化されたセンスにあります。
子どものある表情,ある発言,ある行為に直面した瞬間,その教師には「何か」が問われることになります。
そして,どの場面を「教育的瞬間」だと感じ,即興的にどのようなふるまいをするかに,その教師のセンスが否応なく反映されてしまいます。
教師という仕事の難しさと醍醐味は,人が人を教えるというダイナミズムが,このような一生に一度きりの「教育的瞬間」におけるユニークな出会いに支えられている点にあるのです。
学校が「教育的瞬間」に満ちた場所であるからこそ,教師には常に目の前にいる子どもの姿から豊かに学びとろうとする姿勢が求められているのではないでしょうか。
なぜなら,子どもたちの学びに対する教師の想像力こそが,よりよい教育実践を創るための礎となるからです。(まえがきより)
目次
Ⅰ学ぶ意欲を育むために…[学び]論
1豊かな学びを求めて
ひとごとの学び 切実な学び/思考停止の学び 問いが生まれる学び/「手のひら」の上の学び 「手のひら」を飛び出す学び
2「切実な学び」を支える意欲――「学び」と「自分」の接点
「意欲」を問い直す――量から質へ/「自ら学ぶ意欲」の構造/「学び」と「自分」の接点を求めて
3「学習意欲」について理解を深めるために
学習意欲を高めることはできるのか?/学習意欲のしくみ/学習意欲の萌芽と大人の関わり/学習意欲が育つ環境
4「自ら学ぶ」とは?――「没頭モード」と「イヤイヤモード」
「没頭モード」と「イヤイヤモード」/フロー体験/「オリジン感覚」と「ポーン感覚」/「自己決定」をめぐって/「自ら学ぶ」とは?
5ほどよい目標をもつ
二つの「がんばり像」/成功の可能性が五〇パーセント/「がんばり」の背景とその問題
6報酬はやる気を高めるか?――アンダーマイニング現象の不思議
「報酬がやる気を高める」という常識を疑ってみる/二種類の「やる気」――外発的動機づけと内発的動機づけ/「報酬をあてにする心」に潜む危険性/アンダーマイニング現象と教育
7「反転図形」としてのやる気
「やる気モード」と心のスイッチ/「反転図形」のごとく/リバーサル理論/目的と活動のリバーサル
8「評価」と「やる気」
「評価の時代」に生きる私たち/「成績に入れるぞ」という殺し文句/評価がやる気に及ぼす心理的メカニズム/両刃の剣としての評価
Ⅱ教育的瞬間を見抜くために…[評価]論
9見つめようとする意志
見ているようで見えていない/「色眼鏡」を外して/見る目・聴く耳/見つめようとする意志
10教育評価の新しい視点
私たちがもつ暗黙の「評価観」/「価値判断」としての評価/「問題解決」としての評価/「教育評価」の再吟味――「暗黙の評価観」からの転換/「教育的なまなざし」――思考停止に陥らないために
11「思考」としての教育評価――「評価システム」を超えて
評価システムの弊害――形骸化と自己目的化/評価システムの落とし穴――手続き主義と客観主義/意味解釈としての評価――問われる「教育的妥当性」/評価的思考とは/見る目、聴く耳、語る口
12学力と評価――カリキュラム創造の視点から
「心のはたらき」としての学力/「心のはたらき」としての評価/授業の再構築に向けて
13教育評価の再構築に向けて――システムの問題点と実践の課題
「教育的な評価」と「選抜的な評価」/「値踏みを目的とした評価」という実態――評価システムの問題点/「本来の教育評価」の実現に向けて
14コミュニケーションとしての評価――「観点観」の転換
観点別評価が窮屈なわけ/「評価=評定システム論」という呪縛/「意味を伝える」ということ/教育実践としての評価活動――学習と評価の一体化/「観点観」の転換
Ⅲ教育実践をデザインするために…[授業]論
15学校でしか学べない豊かな学び
「学校でしか学べない豊かな学び」とは/しなやかな教師
16「支援とは何か」をあらためて考える
「指導」対「支援」という二項対立を超えて/教育環境をしなやかにデザインする教師/「しかけづくり」と「場の調整」
17「個性を育てる教育」を再考する
個性と教育/個性化教育と個別化教育/「玉虫色」の個性概念――その曖昧さと複雑さ/「個性を育てる教育」を再考する
18「個」の尊重――システム論を超えて
個人差に対応するシステム/ATIという視点/適合的教育――適材適育型システム/システムとしての個別化・個性化/「システム論」の問題点と課題/「システム論」を超えて
19「切実な言葉」による授業研究――教師の「見える力」をめぐって
「見える」ということ/問われる教師の眼――教育的鑑識/「教育的瞬間」の再発見/「借り物の言葉」による授業研究/「切実な言葉」による授業研究
20今、校内研修はどう変わるべきか
脚光を浴びる「レッスン・スタディ」/「自分の言葉」で表現する――「子どもの具体的な姿」を通して/授業研究に対する「内発的動機づけ」をサポートする/「学校づくり」としての授業研究
21対話によるリフレクションと授業研修
「リフレクション」への注目/授業リフレクションの方法/学びの契機としての対話/「授業リフレクション」に参加しよう
22豊かなリフレクションを実現するために――リフレクションシートの開発思想
「ストーリー」としての授業/授業リフレクションの意義/「リフレクションシート」の特徴
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