環境教育
環境教育
- 日本環境教育学会編
- A5判 並製 228頁
- 2012年2月 発行
- ISBN 978-4-316-80315-9
- 定価 (税込) 2,530円(本体 2,300円+税)
- 読者対象:教師・学生
商品内容
日本環境教育学会編集による「環境教育」のテキスト。なぜ環境教育を学ぶのか,から説き起こし,世界が抱える環境問題,持続可能性を脅かす諸問題,環境教育の進め方とその理論的背景,環境倫理の使命と役割,環境教育の目的と方法,学校における環境教育の計画・プログラムづくりについて解説し,循環型社会の実現と人類の未来のために提言を行う。
目次
序章 なぜ環境教育を学ぶのか
1 環境教育とは何か?
2 環境教育に関する国際的な取り組み
3 持続可能な開発
4 環境教育の特色
(1) 「関係性学習」
(2) 「統合型学習」
5 環境教育の有効性を示す事例
〔コラム〕ハイブリッドと持続可能性
1章 人類の発展と環境問題――環境問題の発生から持続可能性へ
1 「人間に対する環境の影響」から「環境に対する人間の影響」へ
(1) カザフスタンの廃墟と森林の消失
(2) 環境による影響と環境への影響
2 人類の発展と環境への負荷
(1) 類人猿から狩猟・採集民へ
(2) 農業・牧畜による生態系への影響
(3) 産業化社会と環境負荷
3 持続可能な社会の構築へ
〔コラム〕「その気になればできること」と肉食
2章 世界が抱える環境問題(1)――地球温暖化問題
1 地球温暖化問題とは
2 地球温暖化はなぜ問題か
3 地球温暖化の進行とその原因
(1) 地球温暖化の事実
(2) 地球温暖化の原因は人為起源の温室効果ガス
(3) もっとも重要な温室効果ガスは二酸化炭素
4 地球温暖化の深刻な影響
5 地球温暖化への対応
6 私たちにできること
〔コラム〕温室効果ガスの排出量取引
3章 世界が抱える環境問題(2)――生態系と生物多様性
1 生態系・生物多様性とその価値
(1) 生態系・生物多様性とは何か
(2) 生態系・生物多様性の価値
2 生態系・生物多様性の危機の現状
(1) 世界の生態系の変貌とその主要因
(2) 生物多様性ホットスポット
(3) 近づく大量絶滅
(4) 生物多様性損失の要因相互の関係
3 生態系・生物多様性をどう保全するか
〔コラム〕里山と生物多様性
4章 世界が抱える環境問題(3)――資源制約とゴミ問題から循環型社会形成へ
1 国レベルの物質収支
2 資源エネルギー問題の考え方
(1) 枯渇性資源と再生可能資源
(2) 総物質要求量(TMR)
3 廃棄物対策の原則――3Rと廃棄物管理
(1) 3R(リデュース・リユース・リサイクル)原則
(2) 3Rと廃棄物管理の技術・システム
4 化学物質と有害廃棄物対策の原則
〔コラム〕ゴミ分別
5章 世界が抱える環境問題(4)――食料・水・人口
1 はじめに
(1) 環境問題としての食料,水,人口
(2) 肉食と飢餓
2 食料のグローバル化
(1) グローバルな和風弁当
(2) 食と農の距離
3 人口と食料配分
(1) マルサスの『人口論』
(2) 食料か輸出作物か
4 食料か燃料か
5 水
(1) 水へのアクセス
(2) 水の移動
6 食料と科学技術
(1) 遺伝子組み換え作物
(2) 多国籍アグリビジネス
(3) STSの視点で見抜く
〔コラム〕カーボン・フットプリント
6章 持続可能性を脅かす諸問題――ミレニアム開発目標(MDG)をめぐって
1 南北問題・開発問題の歴史
2 地球的諸課題とミレニアム開発目標
(1) 地球的諸課題の関連性
(2) ミレニアム開発目標(MDG)
3 参加型開発と開発教育
〔コラム〕『世界がもし100人の村だったら』
7章 環境教育の進め方とその理論的背景
1 環境教育の目的・目標
(1) 「持続可能な社会」の形成者の育成――環境教育の目的
(2) 環境教育の具体的目標としての「環境的行動」とその形成要因
(3) 持続可能な暮らしに向けた環境教育の目標
2 環境教育の進め方
(1) 持続可能な社会をめざす環境教育の課題
(2) 児童生徒の社会参加を促す環境教育
(3) 発達段階に応じた環境教育の目標と評価の視点
3 総合的な環境教育の視点
5 まとめ
〔コラム〕PISAにおける「環境」の扱い
8章 環境教育における環境倫理の使命と役割
1 環境教育の基盤となる環境倫理的な情操
(1) 自然や環境への感性
(2) 生態系への共感と一体感
(3) 生命の尊重と生物多様性への畏敬の念
2 環境倫理思想の歴史――環境教育の規範的枠組みの展開
(1) 人間中心主義――人間の権利と責任
(2) 人間非中心主義――内在的価値をめぐって
(3) 動物解放論――‘感覚ある動物’に権利をどこまで適用できるか?
(4) 生命中心主義――生物の幸福
(5) 生態系中心主義――全体論と共感
(6) 環境正義の思想――差別と環境問題
(7) 環境プラグマティズム――関係性の倫理へ
3 関係性と価値および徳
(1) 多様な関係性と価値の多元化
(2) 教育における価値体験の世界――精神的覚醒
(3) 「価値観」の教育と「徳」の教育――徳の教育としての環境倫理
4 まとめ
〔コラム〕価値観教育・徳の教育・環境教育の役割の概念整理
9章 環境教育の目的と方法(1)――環境保全意識向上につながる自然観察・自然体験
1 環境教育と自然観察・自然体験
2 自然観察・自然体験の内容
――環境リテラシーとしての自然観察・自然体験
(1) 自然観察・自然体験とは
(2) 地域づくり学習としての自然観察・自然体験
3 教育方法としての自然観察・自然体験
(1) 自然観察・自然体験学習の実施主体
(2) 自然観察・自然体験の学習活動の実際
(3) 自然体験学習アクティビティ
4 自然観察・自然体験のための指導者
5 自然観察・自然体験の今日的課題
〔コラム〕自然学校とネットワーク
10章 環境教育の目的と方法(2)――参加型学習と市民教育
1 参加型学習
(1) 参加の意味するもの
(2) 参加型学習
2 市民教育
(1) 環境教育における「市民」の視点
(2) 市民教育におけるシティズンシップ(市民性)と環境
(3) 英国ナショナルカリキュラム・シティズンシップにおける環境
(4) 身近な環境市民性教育
3 参加型学習と市民教育
(1) 参加型市民教育・学習
(2) 共通の理念としての「現状変革への確信」
〔コラム〕環境シティズンシップ
11章 環境教育の目的と方法(3)――科学的アプローチ
1 はじめに
2 科学教育と環境教育――科学的アプローチとは
3 科学的アプローチによる環境教育がめざすもの
(1) 環境や環境問題についての科学的な理解
(2) 環境に対する科学的な見方・考え方(科学的環境観)
(3) 環境や生命を尊重する態度
4 科学的アプローチの課題
(1) 科学的アプローチをどの程度重視すべきか
(2) 科学的に価値があるから環境や生命は大切なのか
(3) 科学のブラックボックス化がはらむ危険
(4) 環境ガバナンスの視点
(5) STS教育の経験
5 おわりに
〔コラム〕サイエンス・コミュニケーター
12章 環境教育の目的と方法(4)――学校と地域の連携
1 学校での環境教育の現状と課題
2 環境教育で育てる「生きる力」
3 学校での環境教育の事例
(1) 教材としての「水田」
(2) 「水田」や「稲」をテーマとしたときの体験学習
(3) 稲作から食農学習へ
4 学校と地域の連携
(1) 教師と学校に求められるもの
(2) 支援機関として必要なこと
(3) 地域での成果の共有
(4) 学校を中心とした地域ネットワーク
4 東日本大震災時における学校と地域との連携の果たした役割
(1) 気仙沼の環境教育を通した学校と地域のつながりの醸成
(2) 震災直後の学校と地域の連携による緊急避難
(3) 学校・教育再生への道のり
(4) 震災復興と環境教育ではぐくむべき力
(5) 未来への希望ときずな
〔コラム〕マータイさんの“もったいない”
13章 環境教育の目的と方法(5)――多様なステークホルダーとの連携
1 ステークホルダーと環境教育の分野
2 各ステークホルダーの特色
(1) 学校
(2) NGO
(3) メディア
(4) 企業
3 ステークホルダーの連携
(1) 地域社会における連携
(2) 行政の役割
〔コラム〕アメリカの環境NGO
14章 学校における環境教育の計画・プログラムづくりに向けた視点
1 環境教育の三つの段階
2 環境に対する感性をはぐくむ学習
3 環境・環境問題に関する知識や探究能力の育成
4 環境行動や実践力育成につながる学習
5 環境教育の計画・プログラムの作成プロセス
〔コラム〕学校と地域の協力者や専門家をつなぐコーディネーターの必要性
終章 循環型社会の実現と人類の未来のために
1 現状とこれからのシナリオ
2 日本の持続可能性を脅かす諸課題
3 環境問題に対する日本の取り組み
4 社会的責任の浸透
5 エネルギーシフトと環境教育
(1) 脱原発の必然性
(2) 再生可能エネルギー開発の急増
6 学校における環境教育の制度化の必要性
〔コラム〕スマートグリッドとマイクログリッド
付録1 環境教育の歩み
付録2 主要文献の抜粋
(1) 人間環境宣言(ストックホルム宣言)
(2) ベオグラード憲章
(3) トビリシ宣言
(4) “Our Common Future”第2章
(5) 「アジェンダ21(行動計画)」の構成
(6) テサロニキ宣言
(7) ヨハネスブルグ宣言
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