数学的コミュニケーションを展開する授業構成原理
数学的コミュニケーションを展開する授業構成原理
- 金本良通著
- A5判 上製 232頁
- 2014年5月 発行
- ISBN 978-4-316-80383-8
- 定価 (税込) 4,180円(本体 3,800円+税)
- 読者対象:教師・研究者・学生
商品内容
算数科授業において子どもたちが「数学的コミュニケーション」を展開するために,授業はどうあればよいのかを論究する。
目次
出版に寄せて 広島大学大学院教育学研究科教授 岩崎秀樹
まえがき
序章 授業における数学的コミュニケーションを研究するに当たって
1 研究の意図─算数数学の学習指導上の焦点及び理論的背景の概観
2 研究目的と課題
─数学的コミュニケーションの特質を明らかにし
新たな授業構成理論を構築するために
3 研究方法と本書の構成
本書の構成─理論的検討と実践的実証的検討を織り合わせて
実践的実証的検討に当たって
第1章 数学的コミュニケーション
及び数学的コミュニケーション能力の規定
1 コミュニケーションモデルの検討と本研究で用いるモデル
コミュニケーションモデルとしての推論モデル
コードモデルとその限界性
推論モデルと言語的コンテクストの定義
推論モデルの拡張とそれによるコミュニケーションの解釈
推論モデルの拡張
拡張された推論モデルによるコミュニケーションの解釈
コンテクスト概念についての数学教育学研究上の特徴
教材の検討としてのコンテクストへの着目
授業展開の分析としてのコンテクストへの着目
表現に対する意味の種類とコンテクスト
意味及びコンテクストの階層性
意味の分類
発話上に明示されたコンテクスト
2 数学的コミュニケーションの規定とその根拠及び背景
意味と表現との相互構成的な関係
授業事例の分析
意味と表現との相互構成的な関係についての検討と知見
数学的コミュニケーションの定義への示唆
数学的コミュニケーションの定義
算数数学の表現の範囲
算数数学の表現の使用の仕方の範囲
「数学的」ということについての補完的考察
ウィトゲンシュタインのテーゼ
サピア=ウォーフ仮説
言語獲得の発達に関する心理学的研究の知見
3 数学的コミュニケーション能力の規定
数学的コミュニケーション能力の定義及びその構成要素
数学的コミュニケーション能力の構成要素の具体化
数学的コミュニケーション能力の構成要素の規定の背景
アメリカのNCTMのカリキュラムの場合
フィンランドの国家カリキュラムの場合
コンピテンス概念に基づく数学的コミュニケーション能力の発達
4 第1章のまとめ
第2章 数学的コミュニケーションの内部的構造の検討
1 言語的コンテクストの自己組織の明確化
2 言語的コンテクストの転換による意味の構成
3 言語的コンテクストの自己組織の広がり
既習の表現の使用の仕方の発展による新たな表現と意味の構成
数学教育学研究におけるメタファーやアナロジーの研究
アナロジーによる言語的コンテクストの自己組織
複数の表現の関連づけによる新たな意味の構成
4 数学的な意味の構成における公共的な言語的コンテクストの役割
公共的な言語的コンテクスト
数学的な意味の構成におけるコミュニケーション機能の分析
5 第2章のまとめ
第3章 数学的コミュニケーションの外部的構造の検討
1 規範という社会的コンテクストの役割
規範の規定
活動の在り方を規定する規範
規範という社会的コンテクストの構成
規範の再帰的構成
自己や教師の役割に関する規範
数学的活動の本性に関する規範
情意形成の特徴及び情緒的行動の自覚における規範の役割
2 外部的構造としてのコミュニティ
数学的コミュニケーションにとってのコミュニティの役割
多層的なコンテクスト構造
多層的なコンテクストの構成行為
外部的構造にひらかれた学級というコミュニティ
3 第3章のまとめ
第4章 数学的コミュニケーションの内部的構造と外部的構造の統合
1 外部的構造に向かう公共的な言語的コンテクストの拡張
2 コミュニティとの相互構成性に基づく数学的な意味の構成
相互構成性
数学的な意味とコミュニティとの相互構成的関係
相互構成性に基づく統合的なコミュニケーション構造理論の提起
3 第4章のまとめ
第5章 数学的コミュニケーションの展開と
数学的コミュニケーション能力育成のための授業構成の在り方
1 数学的コミュニケーションの分析から数学的コミュニケーション能力の育成へ
2 数学的コミュニケーションの内部的構造及び外部的構造から見える授業の実際
言語的コンテクストの自己組織化と授業
言語的コンテクストの自己組織化
言語的コンテクストの転換
言語的コンテクストの発展
言語的コンテクストの関連
言語的コンテクストの公共化
社会的コンテクストの内面化と授業
社会的コンテクストの内面化と役割
多層的なコンテクストへの着目とコミュニティの構成
3 統合的なコミュニケーション構造理論に基づく授業構成の諸課題
統合理論に基づく授業構成の原則
授業展開の諸場面での強調点
4 相互構成性に基づく授業構成原理
授業構成原理の骨格
算数数学の表現を媒介にした活動の充実─言語ゲーム論の展望
数学的な意味の構成としての「言語の使用」
「言語の使用」の発展性・多様性
算数数学の授業実践に向けて
─算数数学の表現を用い,話し合い活動を通じて共有・公共化し,
協同的に創っていく授業の展開とそれを支えるコミュニティの相互的構成
5 第5章のまとめ
終章 本研究の総括と今後の課題
1 研究の結論と成果
課題1「数学的コミュニケーションの内部的構造」について
課題2「数学的コミュニケーションの外部的構造」について
課題3「内部的構造と外部的構造の統合」について
課題4「授業構成の在り方」について
研究の成果
2 研究の意義
3 今後の課題
補論 算数数学の論理的・創造的な構築を基軸に据えた
数学的コミュニケーションの展開
1 共同性/協同性と創造性
2 創造性の教育課程への位置づけ
3 「算数数学の創造」への取り組みに向けて
引用参考文献
あとがき
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