親と子の動物行動学
教出サイエンスブックス
親と子の動物行動学
野生動物の一生から学ぶ
- 小原秀雄 著
- A5判 208頁
- 2003年8月 発行
- ISBN 978-4-316-80011-0
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商品内容
筆者は,野生動物保護活動の第一人者である立場から,地球と人間とのかかわりの中で,野生動物の社会生態を探究してきました。動物行動学のさまざまな成果をふまえて,動物の親子関係を含む,生まれてから死ぬまでの動物の特徴的な生態と行動を紹介し,これまでにない視点から「人間の本来の生育」について見つめ直すことができる“真面目で楽しい”読み物ともいえます。初めて知る動物の生態や,不思議な行動があらためて「人とは何か」をわれわれ読者に問いかけてきます。
目次
第1章 動物の子どもというもの
二億分の一のエリート[マンボウ]/これが「虎の子」の実態[トラ]/内蔵逆転アカンボからコドモへ[ナマケモノ]/四日で体重倍増[ヒメコミミトガリネズミ]/卵で生まれる生きた化石の子[カモノハシ]/変態する(?)哺乳類[ヒヒ]/ミニサイズの子 スプーンに数匹[チャアンテキヌス]/子を守る親の悲劇[ジャコウウシとイルカ]
第2章 親子の成り立ち
乳への途遠し[カンガルー]/ライオンの母は,谷底がなくて子をしつけられない?[ライオン]/ネコがネズミを「養子」にして育てる?[オリックス]/親子の絆を「しり」で,親子キャラバン[シロハラジネズミ]/肛門からの離乳食[コアラ]/子殺しの「気質」[ハヌマンラングール]/無力な子,有力な子[ウサギ]/生まれ落ちての死の競争[オポッサム]/舐める,抱く,見守る[ブラジルバク]/ヒトの子の動物界での位置[ポト]/親子関係――なめるようにかわいがる親,しがみつく子[キクガシラコウモリ]
第3章 おとなになる
動物界の「幼稚園」[インパラ]/男の子には厳しい父[カバ]/すべり遊びは,遊びではない(?)[カワウソ]/逃げ,身を隠す行動から,臨界距離を測る[リードバック]/出産の同調性[ヌー]/生活能力を母から子へ[チーター]
第4章 家族と家庭
「主夫制」サルの世界[マーモセット]/養子も家族を支える[リカオン]/家族で労働する[ビーバー]/親が家を出ていく[アナグマ]/「産婆ネズミ」[カイロトゲマウス]
第5章 老いと死
定年退職者,アフリカスイギュウの雄の余生[アフリカスイギュウ]/「死の行進」は集団自殺(?)[スプリングボックとレミング]/戦いのいろいろ[オオツノヒツジ]/白髪の生えるまで(?) 白髪になってから精力充実[マウンテンゴリラ]/老人ホームで寿命倍増[シロアシマウス]/動物界で葬式や墓場はあるのだろうか[アフリカゾウ]
終章 動物を見て人間を見る――やさしい比較生態学
人間と動物との「虚像の」結びつき,ターザンと狼少年少女[オオカミ]/人間に恋をした(?)パンダ[ジャイアントパンダ]/偏見と誤解の下の動物たち[アライグマ・スカンク・タヌキ・ネコ・アオウミガメ・インドリ他]